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【社会】

過労自殺 トップ退場 残業強いる上下関係「働き方すべて見直す」

記者会見で謝罪する電通の石井直社長=28日夜、東京都中央区で

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 新入社員の過労自殺は、広告最大手のトップの進退に発展した。電通の石井直(ただし)社長は二十八日の記者会見で「過重労働の解決に至っていない」と辞任を表明。「働き方すべてを見直す」と誓ったが、社員からは「何も変わっていない」の声も。「もう犠牲者を絶対に出さないで」。遺族の悲痛な願いが問い掛けるのは、日本の働く人すべての意識変革だ。 (中沢誠、片山夏子)

 「業務の品質を高めるため、際限なく働くことを是とする風土を生み出していた」。高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺が明らかになってから、初めて公の場で謝罪した石井社長は、変わらぬ電通の体質の責任に言及した。

 「慚愧(ざんき)に堪えない」「深く責任を感じている」。東京都内で開かれた緊急会見では、冒頭で謝罪コメントを読み上げ、十秒ほど深々と頭を下げた。一時間半の会見中、硬い表情を崩さなかった。

 「もう一点、私から報告がございます」。再び立ち上がった石井社長は辞意を口にした。「当局から指導を受け、さまざまな対策を施行してきたが、過重労働の抜本的な改革に至っていない」と自身の責任を認めた。このタイミングでの辞任決断の理由は「遺族への謝罪を最優先に考えてきた」とし、高橋さんの一周忌の今月二十五日に遺族に直接謝罪したと明かした。

 会見では、高橋さんの過労自殺や社内の労働環境に関する外部専門家による調査結果も説明。現状を、月八十時間超の残業をしている社員は減少しているものの「依然として業務負荷がかかっている」とし、原因として過剰なクオリティー志向と現場主義、強すぎる上下関係などを挙げた。

 「殺されても仕事を放すな」の一節で知られる「鬼十則」は、来年から社員手帳への掲載を取りやめる。石井社長は「高橋さんの過労自殺があって、時代に合わない表現があったと認識するに至った」と語った。

 電通の違法残業を巡っては、残業時間を過少申告していた疑いが強まっている。会見で中本祥一副社長は「上司からの指示ではない」としながらも、社員が正直に申告できない雰囲気があったと認め、「労使協定を超えるような違反者をゼロにしようと過大な目標を掲げた結果、過少申告を招く原因を作った」とした。

 

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