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【社会】

声をきいて 子どもの明日(中) 自由な遊び場 どこに

ドッジボール大会の練習をする子ども=東京都世田谷区の若林児童館で

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 降ったりやんだり、ぐずついた空模様の日の午後。東京都世田谷区の住宅街にある若林児童館に、小学生が次々とやって来た。「よっしゃ、勝った」。ベーゴマ、卓球、ドッジボール。汗だくで遊ぶ声が響く。

 「ほとんど毎日来る」という六年生は「学校のクラスではあまり話せないんだけど、ここは最高っす」。四年生の男の子は「『たびちゃん』と遊べて楽しい」と職員の名を挙げた。山下由美子館長は「いつ来てもいいし、来なくてもいい。遊びを通して生きる力を身に付けてほしい」と子どもたちを見つめた。

 都市化とともに、子どもが自由に遊べる空間は減り続けた。こども環境学会理事の木下勇・千葉大大学院教授の調査によると、世田谷区太子堂地区で一九二五年ごろには、遊び場の大半を「空き地」「道」「川」などが占めた。五五年ごろは「空き地」が大幅に減り、八二年には「学校」が増加。二〇〇六年になると「家の中や庭」が最多となった。

 行き場を失う子どもたちのため、六〇年代半ば〜七〇年代に積極的につくられたのが児童館だ。都内では学区単位できめ細かく整備した自治体も多い。

 だが最近は、乳幼児親子向け事業の実施を優先したり、行財政改革で閉館したりする動きが出ている。東京二十三区の一五年三月時点の児童館数は、ピーク時(〇三年度)の四百九十三館より二十七館減った。板橋区は本年度から三十八館を二十六館に削減し、土曜日を原則閉館にした。

 大人の決定に、子どもたちが苦情を訴えることはほとんどない。しかし、一一年に都の専門家会議が小学四年生から高校生まで二百七十九人にグループインタビューしたところ、数多くの不満が飛び出した。

 「公園にはベンチしかなく、野球もサッカーもできない」「クラブに入って金払ってやれという話になる」「中高生の居場所はお金のかかるところしかない」−。

 声をまとめた一般社団法人「TOKYO PLAY」の嶋村仁志代表理事は「印象的だったのは、大人に意見を伝えられたことに子どもたちがとても喜んだこと。『次はいつ?』と聞かれた」と振り返る。

 「子どもの声を軽視したまちづくりをすれば、しっぺ返しがくる」と木下教授は警告する。「仲間と遊び、けんかもすることで、挑戦する力や相手を思いやる力が育つ。遊びの乏しい人が増えると、他人に不寛容で活力のない社会になってしまう」。子どもたちが求める「遊びの保障」が、誰にとっても生きやすい社会につながるという。

 

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