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【社会】

JRA、電通を1カ月指名停止 違法残業で判断

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 電通が違法な長時間労働による労働基準法違反容疑で先月二十八日に書類送検されたことを受け、日本中央競馬会(JRA)が同社を指名停止にしていたことが分かった。停止期間は書類送検された翌日から一カ月間。違法残業による指名停止は過去にあまり例がない。 (中沢誠)

 JRAは二〇一〇年に競争入札参加停止にする基準を改正し、新たに「労基法違反により監督官庁から処分を受けた場合、または逮捕、書類送検、起訴された」ケースを盛り込んだ。今回、電通に初めて適用した。JRA調達管理課の担当者は「不当労働を防ぐために設けたハードル。今回は基準にのっとって判断した」と話す。

 電通は昨年一〜十一月、JRAの競争入札で三十二件計二十二億円の事業を受注している。指名停止について、電通は本紙の取材に「個別取引に関する質問への回答は差し控えます」とコメントした。

 JRAは国が全額出資する特殊法人で、入札や契約に当たっては国や自治体と同様、適正化の促進に関する法律が適用される。しかし、指名停止基準は国、自治体、特殊法人で異なる。

 JRAのように労基法違反を基準に明記するケースは珍しいが、談合や贈収賄以外の違法行為で摘発された場合に指名停止の規定を設けている自治体もある。今後、電通に対する捜査が進み、同社や社員が起訴されたり、有罪が確定したりした場合は、公共事業で指名停止が広がる可能性がある。東京都は一四年、違法な長時間労働で罰金刑を受けた建設会社を〇・五カ月の指名停止にした。都は五輪関連事業などを電通に発注しており、都財務局の契約担当者は「仮に起訴された場合には対応を考えたい」としている。

◆長時間労働防止促す

<日本労働弁護団事務局長の嶋崎量(ちから)弁護士の話> 労基法に違反したら官公庁が一定期間取引を停止するとなれば、企業にとって打撃は大きく、過労死や長時間労働の防止には極めて有効だ。きちんと労務管理している企業を評価し、公正な競争を促す意義もある。長時間労働は許さないという共通認識を広げるため、行政が積極的に取り入れるべきだ。

<電通> 1901年創業の国内最大の広告会社。従業員は約7300人。2015年12月期の売上高は1兆円を超える。「広告界のガリバー」ともいわれ官公庁からも多くの業務を請け負っている。15年4月に入社した高橋まつりさん=当時(24)=が同年12月に自殺し、三田労働基準監督署は、長時間労働が原因として16年9月に労災認定。これを機に過酷な労働実態が表面化。労働基準法違反容疑で東京労働局などの捜査が続いている。

 

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