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【社会】

軍学共同 防衛省以外も推進 技術開発へ「研究会」 内閣府、月内にも設置

大学などの研究機関が軍事研究とどう向き合うかを議論した日本学術会議の公開フォーラム=4日、東京都港区で

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 軍事に転用できる大学や民間研究機関などの技術(軍民両用技術)開発を推進するため、内閣府が今月中にも、有識者会合「安全保障と科学技術の研究会」を発足させることが、内閣府への取材で分かった。研究会は防衛省だけでなく、他省庁も巻き込んで軍民両用技術の開発を進める方策を探る予定で、軍学共同に反対する研究者らからは批判の声が高まっている。

 政府関係者によると、研究会は、自民党国防族らの要望などを受け設置される。内閣府の政策統括官(科学技術・イノベーション担当)の下で議論し、検討結果は「総合科学技術・イノベーション会議」(議長・安倍晋三首相)に反映される。同会議は国の科学技術政策を担い、関連予算をどう配分するか決めている。

 内閣府は、軍民両用技術の推進を唱える政策研究大学院大学の角南(すなみ)篤教授や、大手防衛企業幹部、日本学術会議の大西隆会長などに参加を打診しているという。

 研究会では、テロ対策技術や防衛技術の開発に重点が置かれる。軍事転用可能な大学などの研究に助成金を出す防衛省の「安全保障技術研究推進制度」にとどまらず、ほかの省庁が主導して大学や研究機関の研究を防衛技術に転用できる仕組みなどを検討する。

 内閣府の担当者は「テロや防災など幅広い分野から議論し、防衛省だけでなく各省庁が安全保障に資する科学技術をいかに発展できるか考えたい」とする。議論を公開するかは未定。軍事研究を巡っては、国内の研究者を代表する機関「日本学術会議」が一九五〇、六七年の二度にわたり「軍事目的の研究をしない」とする声明を掲げているが、昨年から声明の見直しを含めた議論が続いている。

◆「おぞましい策謀」学術会議フォーラムで批判

 軍民両用技術開発を推進するための研究会が内閣府に設置されることになった。大学や民間研究機関などの研究の軍事転用を巡っては、日本学術会議を中心にその在り方の議論が進められている。その結論も待たずに、国が軍学共同へと突き進む姿勢に、研究者の批判は高まっている。

 日本学術会議の安全保障と学術に関する公開フォーラムが四日、東京都港区で開かれ、防衛省が大学や民間に助成する制度への批判が相次いだ。

 東大大学院の須藤靖教授は「安全保障に過度に依存する基礎研究など信じ難い。制度に応募しないと合意すべきだ」と防衛省の制度を批判。臨床研究情報センターの福島雅典センター長は「政府の軍民両用はおぞましい策謀だ。科学者は人類の未来に重い責任があることを忘れてはならない」と主張した。

 研究者の間に防衛省の制度を危険視する見方が広がる中、政府与党は逆の動きを強める。自民党のある防衛族議員は「中国は桁違いの金で核開発を進めている。のんきなことは言ってられない。大学や民間の軍事技術への取り込みは必須だ」と研究会の発足を促した理由を説明する。

 フォーラムに参加した新潟大の赤井純治名誉教授は、「人類の福祉や平和に貢献できるような科学の在り方を無視した動きだ。国策の名の下に研究者が軍事研究に加担させられた歴史を繰り返そうとしている。あるべき学問とは何かという視点が完全に抜け落ちている。亡国の施策だ」と批判する。 (望月衣塑子)

 

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