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【社会】

大統領令と闘った日系父の思い 「人種や宗教で選別、過ち繰り返すな」

7日、米サンフランシスコで、「米国は歴史の教訓を軽んじている」と話すカレン・コレマツさん=北島忠輔撮影

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 【サンフランシスコ=北島忠輔】一九四一年の日米開戦を受け、米国で大統領令により強制収容された日系人の名誉回復に尽力した故フレッド・コレマツ氏の長女カレンさん(66)が七日、西部サンフランシスコで本紙の取材に応じた。トランプ大統領が署名・発令した難民やイスラム圏七カ国からの入国を制限する大統領令を批判し、「人種や宗教による選別という過ちを繰り返してはならない。それが父の残した教訓だ」と訴えた。

 一月二十七日、トランプ氏が大統領令に署名した時、カレンさんの頭に父の姿がよぎった。父が闘ったのも、国を守るという名目で四二年二月にフランクリン・ルーズベルト大統領が発令した大統領令だった。

 米国では戦時中、十二万人の日系人が強制収容所に送られた。戦後生まれのカレンさんも、学校の授業で「戦争は日本が悪かった」と教えられ、同級生にいじめられた。偏見の恐ろしさを身をもって思い知った。

 父は八三年、名誉回復判決を勝ち取るまで多くを語らなかった。ただ、「政府が間違っているのは明らかだ」と決してあきらめなかった。カレンさんは「自分の経験を教育に生かしてほしい」という遺志を継ぎ、フレッド・コレマツ協会の会長として、人権教育に力を注いできた。

 「歴史の教訓を軽んじている」と危機感を感じるトランプ氏の大統領令。戦時中と異なるのは、反発の声が広がっていることだ。IT企業グーグルはコレマツ氏の誕生日の一月三十日、自社の検索サイトにコレマツ氏のイラストを載せ、反対のメッセージを送った。

 「憲法は何も言わない人を守ってくれない。間違っていると思ったら、声を上げることを恐れてはならない」。カレンさんは今、言葉少なで謙虚だった父の言葉をかみしめている。

 <フレッド・コレマツ> 1919年、カリフォルニア州オークランド生まれの日系2世。ルーズベルト大統領が発令した大統領令による強制収容を拒み逃亡、後に逮捕された。

 収容所から「憲法に違反している」と訴えて無罪を主張したが、連邦最高裁で敗訴。82年に再び訴訟を起こし、翌年に「強制収容は人種差別などに基づくものだった」とする名誉回復判決を勝ち取った。レーガン政権は88年に「人種的偏見、戦争下の狂気、政治的リーダーシップの欠如があった」と正式に謝罪。98年に文民最高位の大統領自由勲章を贈られた。2005年、86歳で死去した。

 

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