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【社会】

左利きに優しい社会を 文具店主呼び掛け、専用グッズ開発へ

おたまや急須など店頭販売している左利き用グッズを紹介する浦上さん=相模原市中央区で

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 左利きの人が使いやすい道具を増やし、活躍しやすい環境づくりにつなげようと、文具店主とその呼び掛けに応じた文具メーカーらが10日、「レフティー21プロジェクト」を発足させる。メンバーは「世界でも珍しい左利きグッズを開発し、2020年東京五輪・パラリンピックでアピールしたい。少数派にも優しい社会につなげたい」と話す。 (井上靖史)

 「これ持ってみて」。相模原市中央区で文具店を営み、自身も左利きの浦上裕生(ひろお)さん(41)が、左利き用の急須を見せてくれた。正面から見て左側に取っ手がある。右手で持ち、手際良く注ぎ分けるのは大変だ。こうした不便は、右利きが「当たり前」とされる社会で、左利きの人が日々感じているという。

 浦上さんの店は、左利き専用グッズ約百種類を店頭販売する。問屋などを通じ、左利きグッズの開発プロジェクトをメーカーに呼び掛けたところ、六社が賛同した。発足する二月十日は、英語で「左」を意味する「レ(0)フ(2)ト(10)」にちなんだ。二十以上の商品開発を試み、発信する方針だ。

 プロジェクトを思い立つきっかけは、米国のトランプ大統領の就任。オバマ氏やクリントン氏ら最近の米大統領は左利きが少なくなかったとされるが、トランプ氏が右手で万年筆を走らせるのを確認した。「ある意味、左利きもマイノリティー(少数派)」(浦上さん)。排外的な新大統領と対照的に、少数派も活躍しやすい日本にしたいと思ったという。

 浦上さんによると、左利き向けのグッズは昔からあった。だが生産数は少なく、注文にしか対応しない店が多いため、普及してこなかった。

 浦上さんの店は、左利きの弟が中学生だった二十五年ほど前、右利き用のカッターを使ってけがしたのをきっかけに、当時経営していた両親が左利きグッズの専用コーナーを設置した。

 刃の向きが反対の彫刻刀やはさみ、目盛りが右から左へ増えていく定規のほか、スープ用おたまや缶切りなどの調理器具が並ぶ。遠方から買い求めに来たり、珍しがって来店する外国人がいたりと、ニーズはあると感じている。

 世界の人口の約一割を占めるとされる左利きの苦労について、浦上さんは「メモ台付きの椅子が会場に右利き用しかなかったり、料理の盛り付けが右から箸を入れる想定になっていたりと、数え切れないほどある」。その上で「左利きは無理やり右利き用に慣れさせられたり、苦労してきた。もっと左利きが活躍できるようになれば」と願う。

◆メーカー側「需要探る」

 プロジェクトに参加する6社は文具製造のゼブラ、プラス、ライフ、調理器具製造のレーベン販売、ペンタブレットを手掛けるワコム、輸入文具を扱うドイツ系のエトランジェ・ディ・コスタリカ。ゼブラの池田智雄広報室長(47)は「さまざまな需要を探りたい」と話す。

 池田さんによると、左利きに着目するきっかけは昨年2月、文字が乾くまでの時間を従来の5分の1に短縮した新しいボールペンの発売。左利きの人にとって横書きの際、書いた文字の上を手が通過するため、速乾性が重要となる。「こういう商品を待っていた」と大きな反響があった。池田さんは「昔に比べて右利きに矯正する人は減っている調査結果もあり、検討が必要と感じた」という。

 

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