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【社会】

厚労省、悪質求人の監督強化へ 10万件情報放置

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 就活サイトや求人誌をチェックする委託事業で、厚生労働省が不適正な求人の情報を得ながら取り締まりを担う全国の各労働局に伝えていなかった問題で、同省は二〇一七年度から、法令違反が疑われるような悪質な求人広告があれば一週間以内に委託先から詳細な報告を求め、積極的に指導監督につなげていくことを決めた。 (中沢誠)

 この事業では、受託した団体が毎年度、民間の求人広告の実態を集計。労働条件などを正しく掲載していない広告は「不適正件数」としてカウントしており、一五年度までの過去五年間で十万件を超えている。厚労省は「すべてが法令違反というわけでなく、『不適正』は誤解を招く表現」との理由から、今後は「ガイドライン啓発対象件数」として集計する。

 一六年度、業界団体や有識者らが協議し、業界の統一ルールとして求人広告に掲載するガイドラインを策定した。残業代込みの賃金の場合は、残業代分や残業時間を明示するなどガイドラインに沿って労働条件を適切に掲載しているかどうかをチェックする。

 事業委託先の団体は一七年度から、従来の求人広告のチェックに加え、ガイドラインの普及も担う。事業見直しに伴い、名称も「求人情報提供事業指導援助事業」から「求人情報提供の適正化推進事業」に刷新される。

 厚労省の担当者は「悪質な求人にはスピーディーに対応し、適正化につなげたい」としている。

◆実行に移さないと意味ない/行政の怠慢隠す意図感じる

 今回の厚労省の事業見直しについて、「求人詐欺」の著書があり、労働相談を受けるNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表は「これまでの対応を反省し、改善した点は評価したい」としながらも「指導につなげる仕組みを作っても実行に移さなければ意味がない。法令違反が疑われる求人を積極的に是正してほしい」と訴える。

 求人問題に詳しい上西充子・法政大教授は、問題ある求人を「不適正件数」から「ガイドライン啓発対象件数」に変更した点に「行政の怠慢を隠そうという意図を感じる。厚労省はどこまで本気なんでしょうか」と疑問を投げ掛ける。その上で「不適正な求人を出している企業は職場内でもトラブルを抱えがち。問題求人を違法労働のシグナルととらえれば、労働局の指導監督に活用できるはずだ」と指摘する。

 <不適正求人に対する指導監督問題> 1988年度から厚労省の委託を受けた業界団体が、民間求人広告をチェックしたり、読者から求人広告への苦情相談を受け付けたりしてきた。求人内容に問題があれば、業界団体がサイト運営者らに改善を促しているが、毎年1万件以上の不適正な求人が報告され、目に見えた効果は出ていない。求人の適正化につなげようと、総務省が2012年、不適正な求人情報を労働局にも伝えるよう厚労省に勧告。しかし、その後も厚労省が報告したケースはなく、指導監督に生かされることはなかった。この問題について本紙は昨年末に報じた。

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