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【社会】

認知症に安心を 寄り添う図書館 困っている人に対応

「認知症の人にやさしい小さな本棚」を手掛ける川崎市立宮前図書館の舟田彰さん=淡路久喜撮影

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 図書館を、認知症のお年寄りが快適に過ごせる「居場所」にしようという取り組みが広がっている。認知症の人が興味を持ちそうな本を集めたコーナーをつくったり、困っている人への対応の仕方を職員が学んだり。介護サービスにつなげることを目指した動きもある。 (石原真樹)

 「また同じ質問だ」。二〇一五年春ごろ、川崎市宮前区の宮前図書館係長の舟田彰さん(51)は、毎日のように一人でやってくる女性のお年寄りのことが気になった。中部地方の都市名を挙げて「電力会社の電話番号を教えて」と繰り返し尋ねられ、そのたびにパソコンで調べた番号を伝えた。やがて女性は姿を見せなくなったが「これでいいのか」ともやもやした。

 市の別の部署から赴任して一年。認知症の夫が迷子になったという女性が焦った声で「うちの人はいませんか」と電話をかけてきたこともあった。図書館の本を「自分が買った」と持ち帰った人もいた。

 厚生労働省の推計では、二〇二五年には認知症の高齢者は六十五歳以上の五人に一人、七百万人になる。図書館を訪れる認知症の人が増えるのは避けられない。

 「困ったね、と話しているだけではだめ。図書館だからこそ何かできないか」と思った舟田さんは一五年八月、期間限定で、バラバラに置いていた認知症や介護保険関連の書籍などを一つに集めてみた。その年の十二月には棚を拡充して常設に。介護の拠点である地域包括支援センターの案内や認知症を診る医療機関のリストを張った。職員研修も行い、支援が必要と思われる人がいたら情報をセンターに伝える態勢を整えた。

 他の図書館でも、認知症の人に安心して使ってもらう方法の模索が始まっていたり、司書が高齢者施設に出張して、読み聞かせなどをしたりしている=表。舟田さんは「誰もが住み慣れた地域で暮らすため、身近な図書館だから役に立てることがある」と力説する。

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