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【社会】

沈んだ心をほぐした足湯 東日本大震災のボランティア体験がミュージカルに

ミュージカル「私のボランティアイズム」の稽古をする出演者たち=東京都新宿区で

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 東日本大震災で注目された「足湯ボランティア」がミュージカルになった。足をお湯につけた被災者の手をさすりながら会話をするボランティアを、実際に体験した劇団員が脚本を書いた。心も体もほぐされたから語れるようになった被災者の本当の気持ちを、歌や踊りで表現する。 (石原真樹)

 たらいにお湯を入れましょう/手をさすって温めましょう/専門的な知識はいりません/被災地の方とスキンシップ

 社会人のアマチュア劇団「Tomorrow」(東京都目黒区)が上演する「私のボランティアイズム」の挿入歌だ。東北に足湯ボランティアに通うシングルマザーが、被災者やボランティア仲間のさまざまな思いに触れ、自分自身を見つめ直すというストーリー。劇中で、ボランティアの「心得」がメロディーに乗せて紹介される。

 団員でIT企業社員の奥井正浩さん(47)=千葉県八千代市=が脚本を書いた。昨年、住民グループ「どこでも足湯隊」に参加し、福島県南相馬市の仮設住宅や都内で足湯ボランティアをした。足湯をしながら、被災者とボランティアが一緒にわいわい笑いあう様子に「足湯はおもてなし。ミュージカルみたい」と感じ、作品にすることを思いついた。

 足を湯につけてもらいながら手をさすることで、リラックスした被災者が心にしまい込んでいた悲しみや苦しみを語りだすことも多かった。避難先の東京で友達ができないこと、新築した家が津波で流されて借金だけが残ったこと…。

 「心の傷は五年たっても薄れていない」と感じた奥井さんは、足湯隊が被災地で聞いた被災者のつぶやきを、せりふに盛り込んだ。

 「集会所には来たくない。海が見えるから。どうしても津波のことを思い出す」

 「もう小高(福島県南相馬市)には戻らない。帰りたいけど、ひとりで戻っても…」

 足湯ボランティアは東日本大震災だけでなく、一昨年の関東・東北水害や昨年の熊本地震の被災地でも行われた。だが、まだまだ知名度は高いとはいえない。足湯隊の塩谷ケリー隊長(52)=東京都八王子市=は「ミュージカルで足湯ボランティアの大切さを知ってもらえそう」と喜んでいる。奥井さんは「被災者とボランティア全員で作る優しい足湯の雰囲気を味わってほしい」と力を込めた。

 公演は千代田区立内幸町ホール、三月四日午後三時と七時、五日午後一時と五時から。一般三千八百円など。問い合わせは劇団代表の菊地明美さん=電090(8644)5728=へ。

<足湯ボランティア> 適温の湯を張ったたらいに被災者の足を浸してもらい、手のひらや腕などをボランティアがさする。血行促進など身体的な効果に加え、リラックスした被災者が心からのつぶやきを打ち明けることも多い。阪神・淡路大震災の避難所で、東洋医学に詳しいボランティアが始め、新潟県中越地震や能登半島地震の被災地でも行われた。日本財団によると、東日本大震災では2013年3月末までに延べ約7300人が足湯ボランティアに参加した。

 

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