東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

生の落語を外国人にも 元会社員「寄席発祥地」に貸し小屋

小屋の高座で落語を披露する遠江啓さん=東京都台東区東上野で

写真

 「寄席発祥の地」の石碑が立つ、東京都台東区の下谷(したや)神社そばのビルに落語専用の貸し小屋がオープンし、二日にこけら落とし公演を迎える。代表の「席亭」を務めるのは、落語好きが高じてサラリーマンを辞め、落語会のプロデュース会社を設立した遠江啓(とおのえあきら)さん(55)=墨田区。国際観光地・浅草と上野に挟まれた場所で、外国人が気軽に日本文化に親しめる仕掛けも考えている。 (神谷円香)

 「生の落語を同時通訳し、外国人も楽しめるシステムを作りたい。ここは素材を集める実験場です」

 宮戸川酒石(しゅせき)の名前で自らも高座に上がるアマチュア落語家の遠江さんは、こう力説した。

 もともとは、音声認識技術の研究者。企業で、話し言葉をコンピューターに認識させ、多言語に翻訳するシステムの開発に取り組んでいた。二〇一五年、趣味の落語を仕事にしようと落語会の企画などをする会社「ららか」を設立。その後も「生の落語を翻訳する」構想を温めていた。そんな時、東京メトロ銀座線稲荷町駅の出口すぐ横のビル三階にあり、下谷神社からも徒歩二分の物件を偶然見つけた。「ここを実験場にしよう」と思った。

 貸し小屋「稲荷町うららか亭」の広さは約三十平方メートル。手作りした高座と、三十人分の観客席がある。使用料は三時間三千〜五千円と安く抑え、これから売り出そうという若手落語家に使ってもらうことを考えた。

 寄席の音声データを集め、その場で多言語表示が可能なシステムを今年中に完成させることを目指している。軌道に乗れば、同時通訳のシステムを、他の寄席にも売り込んでいきたいという。

写真

 下谷神社は、現在の上野公園にあった一七九八(寛政十)年、山生亭花楽(さんしょうていからく)と名乗ったくし職人が、観客から木戸銭を取る寄席形式で初めて落語を開いたと伝えられる。一九九八年、寄席発祥二百年を記念する石碑が境内に建てられた。横には晩年を台東区で暮らした俳人・正岡子規が寄席のことを詠んだ句碑もある。「ここに巡り会えたのは、演芸の神様との縁と思っています」

 二日夜は春風亭正太郎さんによるこけら落とし公演があるが、既に完売。今月二十四日午後七時に、林家つる子さんの公演が予定されている。前売り千五百円、当日千八百円。プロが教える初心者女性向けの落語教室も開講する。問い合わせは、稲荷町うららか亭=電03(3618)8484=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by