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【社会】

「軍事研究はしない」軍学分離堅持4割 95大学調査、方針転換支持ゼロ

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 日本学術会議が一九五〇年と六七年、過去の戦争協力への反省を踏まえ「軍事研究はしない」と誓った軍学分離の声明について、約四割の大学が「堅持するべきだ」と考えていることが、全国の国公私立大九十五校を対象とした共同通信のアンケートで分かった。六割は明確な態度を示さなかったが、従来方針を変更してもよいとの声はなかった。

 防衛省は二〇一五年度から、大学の研究者らを対象に軍事応用も可能な基礎研究の公募制度を始めたが、大学側は防衛・軍事研究に慎重な姿勢が浮き彫りになった。

 科学者を代表する機関である同会議は、防衛省の公募制度開始を機に声明の見直し作業に着手した。今月七日にも新声明案を発表する予定で、明確な態度を示さなかった六割の中には発表内容を見極めようという大学が多いとみられる。

 アンケートは二月、理、工学部を持つほぼ全ての国立大と主な公立、私立大を対象に実施。回答がなかった二校を除く九十三校の結果を分析した。

 軍学分離の声明について、約四割に当たる九十三校中三十五校が「堅持するべきだ」とした。ほかは「その他」(二十七校)「無回答」(三十一校)で、「堅持すべきではない」はゼロだった。「堅持」の中には筑波、岐阜、豊橋技術科学、岡山、香川など、過去に防衛省の公募制度に応募した大学も含まれていた。

 同制度については二十二校が「防衛省が過度に介入する懸念がある」とし、二十一校が「研究が自由に発表できなくなる恐れがある」とした。これらの懸念に「問題はない」と答えたのは、それぞれ六校、五校だった。

 公募制度に対する大学としての対処方針や内規があるとしたのは二割の二十一校にとどまった。少なくとも新潟、信州、関西、広島、長崎、琉球の各大学が事実上応募しない方針を打ち出した。

 一方で、条件付きで応募を容認する大学もあった。静岡は「明確に軍事目的でないもののみ」とし、九州は「役員会で可否を判断」と回答した。

 学術会議は七日に声明案を示した後、四月の総会に諮る見通し。アンケートでは、公募制度への応募の可否を検討するに当たり、五十五校が同会議の判断を「参考にする」と答えた。

◆応募の是非結論を

<科学者と軍事研究の関係に詳しい池内了・名古屋大名誉教授(宇宙物理学)の話> 防衛省の研究公募に応募するべきかどうかの明解な結論を、大学側が日本学術会議に期待していることがアンケートから読み取れる。大学側には「判断の根拠に使いたい」という思いがあるとみられる。学術会議の見解がはっきりせず、大学側を強く拘束するものでなければ条件付きで応募を認める大学がかなり出るだろう。各大学の判断に任せるというのでは、学術会議の役割を果たしきれない。

 

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