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【社会】

福島から避難の男性、自主上映に奔走 大震災直後描いた「太陽の蓋」

映画「太陽の蓋」の自主上映会開催を呼びかける佐藤純俊さん=さいたま市で

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 東京電力福島第一原発事故の風化を防ごうと、福島県富岡町から埼玉県杉戸町に避難している佐藤純俊(すみとし)さん(69)が、東日本大震災の発生から五日間の官邸の様子を描いた映画「太陽の蓋(ふた)」(配給・太秦、監督・佐藤太)の自主上映会を、埼玉県内で開いている。「六年前の危機感を忘れないでほしい」と願い、全国各地で上映会が広がるよう訴えている。 (西川正志)

 東日本大震災が起きた日、佐藤さんは富岡町にある勤務先のゴルフ場で働いていた。客への対応や大熊町に住む孫たちの安否確認に追われ、一睡もできなかった。

 翌日、原発から八キロほど離れた親戚宅を訪ねたとき、「原発が危ないらしい。川内村に避難しなきゃいけない」と聞いた。念のため、今後の飲み水を準備している時、隣家の人が飛び込んできた。「ボンという音がした。原発が爆発したんじゃないか」

 九十四歳の母を連れ、故郷を離れた。避難先で見たテレビのニュースで、福島第一原発1号機が水素爆発を起こしたことを知った。栃木県やさいたま市など四度も避難先を変え、杉戸町に落ち着いたのは十八日後だった。

 その後、政府や東電の事故対応の説明が二転三転するたび、「事実は何だろう」という思いが渦巻いた。知人の男性が「太陽の蓋」の製作プロデューサーを務めることを知り、上映実行委員会に参加した。

 映画は、菅直人首相や福山哲郎内閣官房副長官ら、当時の首相官邸スタッフの証言などを基に制作され、混乱を極めた実態が描かれている。三田村邦彦さん、袴田吉彦さんらが出演している。

 実行委員会によると、自主上映は全国から申し込みがあり、すでに百六十回ほど開催。佐藤さんの呼びかけで実現した上映会は二月以降、さいたま市など埼玉県内で八回開かれた。今後、四月までにさらに三回予定している。

 映画を見た人からは「当時の官邸がどう動いたかわかった。当時の印象とは違った」「官邸、東電などの実態を知ることができた」などの感想が多いという。佐藤さんは「映画の評価は人それぞれだが、原発問題を再認識してもらえている」と手応えを感じている。

 佐藤さんには、映画で記憶の風化を防ぐとともに、訴えたいことがある。「国民が選んだ時の政権によって、原発推進政策が取られてきた。見た人には政治家や政権を選ぶ責任の重さを知ってほしい」

◆佐藤さんの呼びかけで行う埼玉県内の自主上映会

▼3月11日午後1時半、春日部市の市民文化会館、料金はカンパ制

▼4月8日午後1時半、杉戸町の町立中央公民館、300円

▼同月15日午後1時半、さいたま市の岩槻駅東口コミュニティセンター、500円

問い合わせは、太陽の蓋上映実行委員会=電090(7723)4214=へ。

 

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