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【社会】

避難者、孤立深める PTSDの恐れ急増46%

 東京電力の福島第一原発事故で避難している人たちの46・4%が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性があることが、避難者支援団体「震災支援ネットワーク埼玉」と早稲田大の辻内琢也教授の共同調査の中間まとめで分かった。辻内教授は「避難指示区域が次々解除される中、避難者は危機的状況に立たされている」と話す。 (片山夏子)

 調査対象の避難者が年によって異なるため単純比較はできないが、PTSDの可能性がある避難者の割合は昨年まで減少傾向にあった。今年は昨年の32・9%から大幅に上昇した。

 辻内教授は原因として、避難指示区域が次々解除されることで賠償が打ち切られたり、区域外避難者への住宅支援が打ち切られたりして、新たな決断を迫られていることを挙げる。

 過去の調査でも、避難解除の発表があると、その区域のストレス度が上がったという。「避難者は政策に翻弄(ほんろう)されている。今回の調査結果の特徴は地域差がないこと。避難区域内外どちらの避難者も、先行きが見えない危機的状況にある。早急にケアが必要だ」とする。

 帰還すべきか、移住すべきかなどを巡っては、男女別では大きな違いはなかったが、世代によって大きな違いが出た。回答者やその配偶者は二割近くが帰還を希望しているが、その子どもは6・7%しか帰還を望まず、35・7%が移住を希望している。回答者の親である祖父母世代は37・8%が帰還を希望した。辻内教授は「六年たてば、避難先で子ども自身のコミュニティーができている。避難先が事実上の故郷になっている子もいる」と話す。

 辻内教授は「国は避難指示解除や住宅支援を終了し、半ば強制的に帰還させ、原発事故を終わらせようとしている。避難指示が解除され賠償が打ち切られれば、避難者ではないとみなされてしまう」と懸念する。

 求められるのは、引っ越しのたびに人間関係を奪われてきた避難者が安心して暮らせる環境や支援という。辻内教授は「避難者が現在住んでいる場所を復興住宅のように扱って、二十年先まで住み続けられるようにすれば、安心して暮らせるし、子育てもできる。避難者をこれ以上社会的に孤立した状態に追い込んではならない」と話す。

<調査方法> 調査は、自治体の協力を得て2012年から毎年実施しているが、年によって協力自治体は異なる。今年は2月に実施。福島県南相馬市から全国に避難している世帯、いわき市、双葉町、富岡町、大熊町(いずれも福島県)から関東に避難している世帯などの計1万275世帯にアンケート用紙を配布し、9%に当たる925世帯の回答を中間報告としてまとめた。

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