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【社会】

父島渇水 公共シャワーも制限 観光打撃「雨祈るだけ」

水位の下がった時雨ダム=2月17日、小笠原諸島父島で(小笠原村提供)

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 世界自然遺産に登録された小笠原諸島(東京都小笠原村)が、深刻な渇水に見舞われている。約二千百人が生活する父島では貯水率が30%を割り込み、一九八〇年に次いで過去二番目に低い水準に達した。村は海水を淡水化する装置を導入するなど対応に追われ、主産業の観光への影響を心配する声も出ている。 (神野光伸)

 「泊まりに来てくれる旅行客でも、使ってもらうのはなるべくシャワー。バスタブに漬かるのは控えてもらっている」。父島で宿泊施設「ハートロックビレッジ」を経営する竹沢博隆さん(44)が打ち明ける。「本当に心苦しいと思っています」

 三月は近海のクジラを見に島を訪れる観光客が多く、スキューバダイビングを楽しみたい人も宿泊施設を利用する。竹沢さんは「ダイビング用品を洗う水は、冷蔵庫や室外機から出る水をためて対応している」とため息をつく。

 村によると、父島に四カ所ある貯水池の総貯水率は昨年六月ごろから100%を下回り始め、今月十七日現在で28・8%に。人口が約四百七十人の母島でも十六日現在、貯水池(一カ所)の貯水率が43・9%まで下がった。

 小笠原諸島では昨年五月以降、高気圧に覆われやすく低気圧や前線の影響を受けにくかった。父島では昨年五月から今月十五日までの降水量が平年の半分程度にとどまっている。

 村は昨年十月に渇水対策本部を設置。父島では一般家庭の給水圧を下げ、海水浴場の休憩所にある公共のシャワー設備なども給水を制限した。今年二月半ばからは、海水を淡水化する装置を使った給水を開始。村所有の装置に加え、水資源機構(さいたま市)にもう一台を借りた。

海水を淡水化する装置を設置する水資源機構の職員=同機構提供

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 しかし、計二台で淡水化できるのは、一日当たり計百二十トン。父島で一日に消費する水は観光客分を含め平均約六百五十トンで、追い付かない。村の担当者は「水が底を突くのを遅らせることはできたが、まだ足りない」。三月からは、港区・竹芝との間を結ぶ大型貨客船「おがさわら丸」の水の補給も取りやめた。

 父島では一九八〇年に貯水率が14・7%まで落ち込み、一般家庭でも一時断水時間を設けたことがある。二〇一一年も四割を切ったが、いずれも半年程度で回復した。両年と比べ、今回は少雨の期間が長く厳しい渇水が続く。

 小笠原でまとまった雨が降るのは、例年だと四月から五月ごろ。「しばらくはまとまった雨は期待できない。観光のイメージダウンにつながらなければいいが…」と村の担当者。竹沢さんも「観光客が減れば小笠原の経済は成り立たない。まとまった雨が降るのを祈るばかりだ」と話した。

 

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