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【社会】

自主避難者「家を奪わないで」 「住宅無償提供」打ち切り

自主避難者の住宅無償提供打ち切りに抗議する人たち=31日、東京・永田町で(由木直子撮影)

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 東京電力福島第一原発事故で、福島県は三十一日、避難指示区域外から全国に避難する「自主避難者」への住宅無償提供を打ち切った。支援団体「避難の協同センター」事務局長の瀬戸大作さん(54)は「家賃支払いが大変で、生活困窮に入った避難者は多い」と指摘。東京都内や福島市内では、打ち切りに抗議する動きが相次いだ。 (中山高志)

 福島県は事故後、建設した仮設住宅や全国の公営・民間住宅を無償提供してきた。しかし、食品の安全性確保や除染が進んだなどとして、避難指示区域外からの自主避難者については、今年三月末で無償提供を打ち切ることを二〇一五年に決定。国も同意した。

 県によると、打ち切り対象は昨年十月末現在で一万五百二十四世帯、二万六千六百一人。首都圏一都六県では二千百八十七世帯。

 この日、国会前の抗議集会には約百三十人が参加し、「被害者を切り捨てるな」などとシュプレヒコールを上げた。福島県庁には約十人が訪れ無償提供の継続を求める文書を提出。また東京都庁では、避難者団体「ひなん生活をまもる会」代表の鴨下祐也さん(48)らが、長期無償提供などを求める署名を提出。総計で約八万七千人分に達した。

 「妊娠中だった妻と五歳の長男と自主避難した。あれから六年がたちます」。曇り空の下に冷たい風が吹いた国会前。福島県郡山市から静岡県富士宮市に家族四人で避難する介護施設経営の長谷川克己さん(50)が声を張り上げた。

 四月には長男(11)が小学六年生に、避難時に母のおなかの中にいた長女(5つ)は年長になる。住宅打ち切りで、毎月約六万五千円の家賃がのしかかる。

 「六年前、たくさんの親が悩みながら行動を取ったことは尊重されるべきだ」。長谷川さんは福島の親の思いを代弁した。「私たちの避難行動は誰からも非難されることではない。私たちには生きる権利があります」

 打ち切り後の受け皿として、対象世帯が優先的に入居できる公営住宅は、一月現在で東京都営が三百戸、神奈川県営が七十戸、埼玉県営が百五十六戸あるが、いずれも家賃が発生する上、収入や世帯などの要件も課される。福島県は民間賃貸住宅に避難を続ける世帯について、所得が一定以下なら一九年三月まで家賃の一部を補助する。

 

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