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【社会】

南スーダン産の蜂蜜を平和の「素」に 横浜の社長が輸入・販売

南スーダンの蜂蜜を街頭販売する水野行生さん=横浜市西区で

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 治安の悪化が続くアフリカ・南スーダンの人たちの暮らしを支えようと、現地で採れた蜂蜜が東京や横浜で販売されている。現在、国内に出回る唯一の南スーダン産品だ。同国の国連平和維持活動(PKO)に派遣中の陸上自衛隊は近く撤収するが、状況は好転していない。販売を手掛ける男性は「蜂蜜生産が新産業として根付き、武器を捨てるきっかけの一つになれば」と願う。 (梅野光春)

 「南スーダンのサバンナアカシアの蜂蜜〜」。JR横浜駅(横浜市西区)近くの街頭市場「はまテラスマルシェ」で、販売会社代表の水野行生(ゆきお)さん(49)=同市港南区=の掛け声が響く。琥珀(こはく)色の蜂蜜を試食すると、淡い苦味と香ばしさが口に広がる。「コーヒーに混ぜてもおいしいですよ」

 蜂蜜は、首都ジュバを含む南部地域に自生するアカシアから採れたもので、昔から住民が薬用に使っていた。経済の自立に役立てようと、二〇一三年に隣国ケニアの非政府組織(NGO)が進出し、集荷を始めた。水野さんはこのNGOを通じ、昨年十二月に輸入販売を始めた。

 蜂蜜生産は開発途上国の生活改善に役立つという。主な作業は養蜂箱を置き、蜜をろ過するだけで、少ない投資で始められる。水野さんは〇八年以降、アフリカのマラウイとケニアから蜂蜜を輸入してきた。マラウイを訪れた際は養蜂箱五十箱を寄付したことも。

 今回、南スーダンから輸入した蜂蜜百キロで、生産者に二百ドル(約二万二千円)が渡った。同国では一五年の国民一人当たり国内総生産(GDP)が七百三十ドル(約八万円)と低迷する。「今後も販売に力を入れて輸入を続け、ビジネスで現地の人たちを支えたい」と水野さん。

 日本への蜂蜜輸出は、現地で明るいニュースになっている。昨年十二月に来日した南スーダンの通産相は水野さんに「素晴らしい取り組みだ。政府も協力する」と約束。今年一月末の現地紙「ジュバ・モニター」は、同国の通産相が「日本への輸出はわずか百キロだが、今後に向けた大きな一歩」と評価したと報じた。

 外務省によると、南スーダンでは政権内部の対立で今も銃撃戦が散発的に起きており、邦人に渡航自粛を呼び掛ける「退避勧告」が続く。水野さんもまだ現地を訪問できず「早く平和を取り戻してほしい。自分の目で養蜂の現場を確かめたい」と話している。

 水野さんは「はまテラスマルシェ」や東京・有楽町の「交通会館マルシェ」で随時、「南スーダンの蜂蜜」(税込み千二百円)を出品。インターネット販売は税込み千四百四円。問い合わせは水野さん=電080(4344)2976=へ。

 <南スーダン> アフリカ東部の内陸国でナイル川上流にある。面積は日本の約1.7倍の64万平方キロメートルで、人口は1234万人(2015年)。アフリカ系でキリスト教徒が多数を占める。11年、アラブ系でイスラム教徒が多いスーダンから独立した。かつて英国統治下にあり、1956年に北部と共に独立。独立前の55年に始まった第1次内戦は、72年に自治権を持つ南部政府の設置で終結。南部で生産される石油を巡る対立などから83年に第2次内戦が勃発し、05年までアフリカ最長の内戦が続いた。今は政府内の権力争いで紛争が起きている。

 

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