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【社会】

「共謀罪」審議入り 首相「テロ対策」前面 野党「市民も処罰の恐れ」

 犯罪に合意したことを処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は六日、衆院本会議で審議入りした。安倍晋三首相は「東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策に万全を期すことは開催国の責務」などと共謀罪の必要性を強調。野党は「テロ対策は口実」「憲法が保障する思想・良心の自由などを侵害する」「一般市民も処罰の可能性がある」などと追及した。(山田祐一郎、木谷孝洋)

 共謀罪は組織的犯罪集団の活動として、二人以上で犯罪を計画(合意)し、誰か一人が何らかの準備行為をした場合、全員が処罰される。自民、民進、公明、共産、日本維新の会の五党が質疑に立った。

 心の中で考えたことが処罰されるとの指摘について首相は「内心を処罰するものでない」と繰り返し、その根拠として、合意だけでなく準備行為がなければ処罰できないことを挙げた。

 しかし、処罰対象は犯罪の手前の段階の「合意」であり、捜査では外側から分からない心の中を調べることになる。また準備行為は、資金や物品の手配、下見と、曖昧で危険性がない行為であり、捜査機関の判断次第でどんな行為も準備行為とみなされ、捜査につながる恐れがある。

 公明党の国重徹氏が「市民団体が座り込みを計画しただけで組織的犯罪集団に当たるのか」と指摘すると、金田勝年法相は「目的が重大な犯罪の実行にあるとは考えられず、対象になることはない」と答えた。だが、普通の団体でも目的が犯罪の実行に変わったとみなされれば、組織的犯罪集団に認定される可能性がある。目的が変わったかどうかを判断するのは捜査機関になる。

 政府は今回、共謀罪を「テロ等準備罪」と呼び、テロ対策を前面に押し出す。民進党の逢坂誠二氏は「テロ対策を口実にして法案の成立を画策するのは姑息(こそく)な手口だ」と批判。これに対し、首相は「テロ対策に『これで十分』ということはない。できる対策は全て尽くす」と説明した。

<共謀罪> 日本が2000年に署名した国際組織犯罪防止条約は「重大犯罪の合意」などを犯罪化するよう求めた。これを根拠に政府は03〜05年、共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案を3度にわたって国会に提出。適用対象が曖昧で、600以上の犯罪を実行前に処罰できるようになるとして批判が強まり、いずれも廃案となった。政府は適用対象を「組織的犯罪集団」と定め、現場の下見など犯罪の「準備行為」を要件に加えた改正案を今国会に提出した。

 本紙は、組織犯罪処罰法改正案の審議で注目する三つのテーマと九つの論点を設定しました。今後、政府・与党と野党がどのような議論を交わすのか。継続的にチェックしていきます。

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