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【社会】

落雷探知で世界と協力 位置を特定、防災に生かす

「落雷情報を共有して、減災につなげたい」と抱負を述べる成田知巳教授=神奈川県藤沢市の湘南工科大で

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 全世界の落雷情報を、インターネットを介して共有する民間のプロジェクト「Blitzortung.org(ブリッツ)」に日本の研究者らが参加を始めた。主導したのは、湘南工科大(神奈川県藤沢市)電気電子工学科の成田知巳教授(52)。停電時の落雷場所の推定や復旧作業への活用に期待を込める。 (布施谷航)

 成田教授によると、ブリッツは、ドイツの大学教授らが約五年前に立ち上げた。落雷で生じる電磁波を世界中に張り巡らした受信機で探知し、落雷位置を特定。ネット上でリアルタイムに位置を確認する。

 登録されている受信機は、世界で約千八百台。落雷情報に関心を持つ研究者や市民が設置している。

 特徴の一つは受信機の安さ。ドイツの教授らが開発し、六千キロ先(日本からオーストラリアぐらい)まで落雷を検知できるが、ネットを通じ約五万円で入手できる。電力会社や気象会社が使う既存の落雷探知システムと比べ、コストは千分の一以下という。

 ただ、これまでアジアで設置されているのは香港、タイ、シンガポールなどに限られ、日本にはなかった。成田教授は昨年から、全国の大学や知人に協力を依頼。今年三月までに北海道、東京、沖縄など全国十二カ所に受信機を設置した。

湘南工科大の屋上に設置されている落雷情報の受信機

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 受信機が増えれば、落雷の場所や時間をより高精度に確認できる。成田教授らは設置場所の増加を目指すとともに、研究機関や行政、民間企業などの情報活用に期待する。成田教授は、落雷多発地帯とされるアジアで、ネットワークを広げる必要性を指摘する。

 バングラデシュでは、二〇一六年五月、四日間で六十五人が雷被害で死亡した。報道によると、農作業や建設作業に従事している最中の事故だった。

 成田教授は「衝撃だった。雷が近づいていることが早く分かれば、命を落とす人を減らすこともできる」と強調。「受信機を整備し、雷の位置やエネルギーをより正確に捉えるようにして、防災に活用できる道を探りたい」と話す。

 

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