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【社会】

高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針

 厚生労働省は、高齢のがん患者に対する抗がん剤治療の指針作りに乗り出す方針を固めた。高齢患者について抗がん剤の延命効果を調べたデータは少ないため、全国の患者の情報を集約する「がん登録」の制度などを活用して大規模調査を進め、指針に反映させる。

 国立がん研究センターは二十七日、七十五歳以上の高齢者に抗がん剤を使っても延命効果がない可能性を示唆する研究結果を発表した。厚労省はこうした結果も参考にし、今後六年間のがん対策の方向性を示す第三期がん基本計画に、高齢者を含む年代別のがん治療法の検討を盛り込む。

 がん患者は高齢化が進み、同センターによると、二〇一二年に新たにがんと診断された約八十六万人のうち、七十五歳以上は約三十六万人と推計されている。

 厚労省は、高齢者を対象とした臨床研究を進め、認知症を合併した患者の支援を検討する。患者によっては抗がん剤の投与をやめて副作用をなくす治療を提案、生活の質を保つことも視野に入れる。高額な抗がん剤の過度の使用が減れば医療費削減も期待できる。

 同センターは、〇七〜〇八年に同センター中央病院を受診した約七千人のがん患者を調べた。肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。

 ただ、七十五歳以上の患者は十九人と非常に少なく、同センターは科学的に抗がん剤の効果がないとは言い切れないとしている。胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。

<抗がん剤> 飲み薬と注射薬があり、投与後は血液に入って全身を巡り体内のがん細胞を攻撃、破壊する。免疫を助けることでがんを殺す機能を持つものもある。新薬が開発されるとともに、高い薬価が問題視されてきた。例えば日本発の新薬「オプジーボ」は皮膚がんなどに保険適用されているが、患者1人への投与で年間約3500万円に上ることが批判され、今年2月に半額に引き下げられた。

 

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