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【社会】

中学校教員の57% 「過労死ライン」の週60時間超勤務

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 文部科学省は二十八日、二〇一六年度の教員勤務実態調査結果を公表し、国が示す「過労死ライン」に相当する「週六十時間以上勤務」だったのは中学校の一般教員の57・7%に上ることが分かった。小学校では33・5%だった。授業や部活動の増加が要因で、十年前の前回調査と比べて週勤務時間は中学校で約五時間、小学校で約四時間増えた。

 松野博一文科相は「看過できない深刻な事態が客観的な証拠で裏付けられた。教員の負担軽減に向けスピード感を持って対処する」と述べ、中央教育審議会に諮り、教員の働き方改革を進める方針を示した。

 調査は昨年十〜十一月、全国の公立小、中学校各四百校でフルタイムで働く校長、副校長・教頭、一般教員、講師、養護教員、栄養教員を対象に実施。小学校は八千九百五十一人、中学校は一万六百八十七人から回答を得た。

 一般教員の週当たりの勤務時間で最も多かったのは、中学校で六十〜六十五時間未満(17%)、小学校で五十五〜六十時間未満(24・3%)。平均勤務時間は中学校で六十三時間十八分、小学校で五十七時間二十五分だった。

 十年前と比べて、週勤務時間は中学校で五時間十二分、小学校で四時間九分増加。部活動の負担が大きい実態も明らかになり、中学校の場合、土日一日当たり二時間十分と、十年前(一時間六分)のほぼ二倍に増えた。

 その他の平日業務では、授業(主担当と補助)が中学校で十五分、小学校で二十七分、それぞれ増加。中学校は授業準備(十五分)や成績処理(十三分)、小学校は学年・学級経営(十分)などの増加幅が大きかった。

 過労死ラインは、時間外労働がおおむね月八十時間超とされ、週平均では二十時間以上となる。週の勤務時間(公立校教員で三十八時間四十五分、労働基準法で四十時間)と合わせると、約六十時間以上が過労死ラインを上回る。

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◆授業や部活時間増 要因

<十年前と今回の調査に関わった青木栄一・東北大准教授(教育行政学)の話> 十年前との比較可能なデータで教員の多忙化が明らかになったことは極めて重要だ。学校で長時間労働が常態化していることを社会全体で認識すべきだ。

 十年前にはなかった土曜授業が実施されるなど授業コマ数は増え、外国語など新たなカリキュラムへの対応や、若手教員の増加で授業準備にも時間がかかっている。教員の仕事は授業を中心に組み立てられるべきで、文科省はまず教員を増やすべきだ。成績処理を含めたデスクワークも効率化する必要がある。

 中学校の長時間労働の要因が部活動であることは十年前から指摘されており、都道府県単位で上限を設けるなど思い切った見直しが待ったなしだ。 

<教員の勤務> 公立学校の教員の勤務時間は、休憩時間を除き1日7時間45分。仕事に自発性や創造性が期待され、勤務の内外を切り分けるのは適当でないとの理由で、時間外手当は支給されず、代わりに月8時間分の勤務に相当する本給の4%を「教職調整額」として全員に一律支給している。時間外勤務は、生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害など「超勤4項目」に限って命じることができるとしているが、形骸化しているとの指摘がある。

 

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