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【社会】

教員にも時間外上限を 研究者らが労働規制を求め署名募る

「教職員の時間外労働にも上限規制を設けて下さい!」に賛同を求める署名を受け付けるチェンジ・ドット・オーグのサイト

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 公立学校の教員は制度的に時間外勤務の想定がなく残業代も支払われず、労働実態に見合っていないとして、教育研究者らが一日、時間外労働を把握し上限規制を設けるよう政府に求めるインターネット署名を始めた。署名サイト「change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で、六月初めごろまでに四万人を目標に募り、松野博一文部科学相らに提出する。最終的に二十万人を目指す。 (小林由比)

 公立校の教員は自発性や創造性が期待される仕事とされ、七時間四十五分の勤務時間終了後の部活動や授業準備などは「自発的行為」とされる。このため特別法に基づき、時間外手当がない代わりに、八時間分の勤務に相当する基本給の4%が毎月、一律支給される。タイムカードで労働時間を記録する学校は一割程度にとどまる。

 国立や私立の教員は特別法の対象外で、教育関係者からは「同じ仕事なのに扱いが違うのはおかしい」との声が上がる。

 国が今年四月に公表した調査では、「過労死ライン」とされる月八十時間超の時間外労働をする教員は、中学校で57%、小学校でも33%に上り、多くの教員が残業をしている実態が明らかになった。授業時間数の増加や部活動の負担が大きく、週当たりの勤務時間も十年前より四〜五時間程度増えている。

 署名の呼び掛けでは「仕事を増やしても残業代を支払う必要がないため、いくらでも仕事を増やすことができる。学校現場では勤務時間が適切に把握されていない」と指摘。国が「働き方改革」の一つとして決めた時間外労働の上限規制を、教員にも設けるよう求めている。

 呼び掛け人の一人、名古屋大学の内田良准教授は「子どもたちのために尽くすのが教員だという意識が、教員自身にも社会にも強い。教育者である前に労働者だという前提に立ち、先生たちが健全な心身で子どもたちと向き合えるよう、広く賛同を募りたい」と話している。

 署名するには、グループのホームページ(「学校にも働き方改革の風を」で検索)から、「署名サイトへ」をクリックする。

◆突然死した教員の妻が手記寄せる

 署名サイトには、昨年夏に突然死した男性教員=当時四十代前半=の妻が寄せた手記も紹介されている。中学校教員だった男性は脳出血で倒れ、意識が戻らないまま亡くなった。土日もほぼ部活動で出勤するなど長時間労働が常態化していた。

 教員仲間らが公務災害を申請しようと実態調査を進めているが、時間外労働の記録が不十分で難航しているという。

 男性が亡くなった時、長女は二歳、妻は妊娠六カ月だった。妻は手記で夫について「教員という仕事に誇りを持っていました。やりがいも感じていました。でも、すごく疲れていました」と述懐。「自分の命を縮めて、家族に寂しい思いをさせて、子どもにとって『ひとり親』にして…。そこまでしないとできない仕事は辛(つら)すぎます」とつづっている。

 

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