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【社会】

マンション反対「もう声出せぬ」 住環境守る団体代表「共謀罪」危惧

「市民が声を上げられなくなってしまう」と共謀罪への危機感を口にする奥田恭正さん=名古屋市瑞穂区で

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 犯罪に合意したことを処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の審議は、衆院法務委員会で大詰めを迎えている。金田勝年法相は「一般市民が捜査対象になることは百パーセントない」と強調するが、拡大解釈の懸念は残る。名古屋市で昨年秋、マンション建設に反対し、逮捕された住民団体代表で薬剤師の奥田恭正(やすまさ)さん(60)は「共謀罪ができることで、市民が声を上げることすらできなくなってしまう」と訴える。 (山田祐一郎)

 昨年十月七日朝、奥田さんは自宅(名古屋市瑞穂区)の向かい側の十五階建てマンション建設現場で、現場監督の男性を暴行したとして、現行犯逮捕された。十四日間の勾留後に起訴され、保釈になった。現在、公判中だ。

 マンションの建設計画は一昨年秋に突然、地域住民に知らされた。低層の民家や商店ばかりの住宅街。日照が遮られる恐れもあり、奥田さんを中心に住民約二十人が「住環境を守る会」を発足させ、計画見直しを求めて名古屋市に調停を申し立てるなどしたが、話し合いはまとまらなかった。

 本格的な工事が始まった昨年夏ごろ、奥田さんは車両出入り口付近にコーン標識を設置したことで警察に呼び出され、「これ以上は威力業務妨害になる」と指摘された。建設業者側からは十回以上、一一〇番されていた。

 現在は数人の住民が朝、現場で抗議ののぼりや横断幕を掲げているだけだ。

 奥田さんは、現場監督との接触を禁じられているため、これまでのように抗議行動に参加できず、事実上、活動が制限された状態だ。

 奥田さんはこれまで政治活動にも住民運動にも関わったことはないが、弁護人の中谷雄二弁護士は「警察が威力業務妨害と発言したことを考えると、警察は事件前から奥田さんらを秩序を乱す団体と見ていた」と指摘する。

 共謀罪の対象犯罪には組織的威力業務妨害が含まれており、中谷弁護士は「共謀罪ができたら、警察が『犯罪をする前に捕まえなければ』と、奥田さんらを一網打尽にする危険性がある」と話す。

 奥田さんは言う。「市民が声を上げることすらできなくなるかもしれない。人ごとではないというのを知ってもらいたい」

 

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