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【社会】

難民認定審査 「決定理由」わずか4行

参与員の多数が「難民相当」としたにもかかわらず、わずか4行の「法相の判断」で難民認定されなかった申請者の決定書=プライバシー保護のため一部黒塗りにしました

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 二〇一三〜一六年の難民認定審査で、法相が「難民審査参与員」の判断を覆し、難民と認めないケースが四割に上った。「主張や資料を検討しても、迫害を受ける恐怖があるとの主張に理由があるとは認められない」。不認定となったミャンマー人男性に対し、法相が示した決定理由はA4用紙で四行しかなく、明確な説明はなされていない。 (岡本太)

 このミャンマー人男性の場合、参与員三人のうち、「難民相当」と判断した二人は、男性が反政府活動に従事していることから「帰国したら尋問を受ける可能性は十分にある」と指摘。一方、「不認定相当」とした参与員は「活動が本国政府から特に注視され、迫害を受けるほどのものとは考え難い」とした。

 双方の意見はそれぞれ数ページにわたって記載されていた。それにもかかわらず、法相が下した決定理由は「(不認定相当とした)参与員の意見の要旨の理由と同一の理由により」などと触れただけ。不認定相当とした一人の参与員の意見を全面的に採用したのか、根拠は示されなかった。男性は不認定処分の取り消しを求めて裁判所で争っている。

 難民問題に詳しい駒井知会(ちえ)弁護士は「参与員の意見が分かれているなら、少なくとも、なぜ不認定相当の意見を採用するのか、明確に示すべきだ。日本の難民認定制度は厳しいだけでなく、判断基準や理由が不透明で、本当に助けを必要とする難民を追い込んでいる」と批判する。

 入国管理局は「より合理的と考えられる意見を採用した結果で、(決定書の記載内容が)不十分とはいえない」としている。

 一三〜一六年、一次審査を不服として参与員の審査を受けた約六千人の申請者のうち、本紙は裁判資料などから二百二十四人分の決定書を入手した。法相の決定が「難民認定」、「不認定」にかかわらず、理由はいずれもA4用紙で四行程度だった。

◆世界と大差 日本の認定率 0.6%「狭き門」

 日本は他の先進国に比べ、難民受け入れに消極的な姿勢がデータから浮かび上がる。2015年、日本が難民として認定した人は27人。うち、1次審査で難民認定されたのは19人で、認定率は約0.6%だった。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータを基に本紙が調べたところ、15年、米国を除く先進5カ国の難民認定率はカナダが67.5%(認定者数約8500人)。ドイツは58.7%(同約12万8900人)、イタリアは5%(同約3600人)だった。

 中東諸国からシリア難民などが多く流れ込む欧州に対し、日本の難民申請者はインドネシア、ネパールなどの東南アジア各国出身者が多い。10年に難民申請から6カ月経過すれば就労が認められるようになったことで、就労目的で申請する人が増えたことも背景にあるとされる。

 

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