東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「共謀罪」運用 捜査現場熟知の識者は

 「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が成立した。捜査機関による一般市民への監視が強まることへの懸念は根強い。捜査現場を熟知した元警察官や元検察官、捜査機関からの令状請求を審査する元刑事裁判官に、影響や運用の在り方などについて聞いた。 (清水祐樹、寺岡秀樹)

 元北海道警幹部で、「警察捜査の正体」などの著作がある原田宏二氏(79)は「警察はこれまでも一部の政党や労働組合などを対象に、ひそかに国民を監視してきた」と話す。法施行後については「監視対象は一挙に拡大し、かつ、より早い段階から個人情報を集められるようになる」と指摘。「警察に新たな『武器』を持たせることになった。今まで以上に監視社会を招く恐れがある」と危ぶむ。

 元東京地検検事で、オウム真理教関連事件の捜査を担当した落合洋司弁護士は、対象犯罪の数が二百七十七に上ることから「取り締まりの範囲がかなり広くなる一方、早い段階での摘発が求められるようになる。捜査機関の見立て違いで無関係の人が巻き込まれる恐れがある」と指摘する。

 警察が摘発した事件で起訴するかどうかの検察の判断については「証拠次第だから、不起訴になる場合もある」と説明。ただ、起訴の見込みが低くても「警察がオウム事件のようなテロの恐れがあるので逮捕したいと相談してきた場合には検察も捜査を拒否しにくいのではないか。悩ましいところだ」と話す。

 元刑事裁判官で、法政大法科大学院の水野智幸教授は「裁判官が令状を出す際、より厳格、慎重に判断する姿勢が求められる」と指摘。処罰に必要とされる準備行為については「日常行為と区別が付きにくく、犯罪に結び付いた行為かどうかを厳格に判断する必要がある」と述べた。

 捜査対象者の事件への関与の程度は「単なる『抽象的な恐れ』レベルではなく、『具体的な根拠に基づく恐れ』があるかどうか判断しなければならない」との見方を示した。

 刑事訴訟法は、令状を出すに当たり、事実を取り調べる権限が裁判官にあると定める。「納得いかなければ警察から事情を聴き、新たな資料を提出させるなど、今まで以上に慎重な判断が求められる」と話した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報