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【社会】

<「共謀罪」論戦検証>(2)首相 懸念の声に耳傾けず

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 「東京五輪を開けないと言っても過言ではない」

 通常国会が始まった直後の衆院本会議。安倍晋三首相は「共謀罪」法を成立させる必要性をこう表現した。首相は四年前、東京五輪の招致を呼びかける演説で東京を「世界有数の安全な都市」と表現していただけに、担当記者にはまさに「言い過ぎ」に聞こえた。

 共謀罪創設法案は過去に三度廃案になった経緯があり、政権にとっては“鬼門”とも言える法案。国会審議で政府は国民が反対しづらい「テロ対策」を徹底して打ち出す戦術を取った。

 首相は「テロ対策に万全を期すことは開催国の責務」「一般人が対象になることはない」と繰り返し答弁。五月下旬にイタリアで開かれた先進七カ国(G7)首脳会議(サミット)の際に、「テロの脅威を含む国際的な組織犯罪に対する取り組みを強化する上で極めて重要だ」と述べ、法成立への意欲をアピールした。

 法案が衆院通過する直前の五月中旬、思わぬところから「警告」が入った。国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が「法案は市民のプライバシー権を侵害しかねない」と批判する首相宛ての公開書簡を公表。書簡には法案の本質的な問題点が並んでいたが、首相は「著しくバランスを欠く不適切なものだ」と取り合わなかった。

 さらに同三十日の参院法務委員会では、質問に答えようと挙手した金田勝年法相を首相が右手で押さえて阻止する一幕も。答弁を官僚に任せて、とにかく法案を成立させようという姿勢を印象づけた。

 六月一日収録のラジオ番組では、「(野党は)不安を広げるための議論を延々としている」と発言した。審議を重ねれば重ねるほど膨らむ懸念の声に、首相が真剣に耳を傾けることはなかった。 (木谷孝洋)

 

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