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【社会】

<「共謀罪」論戦検証>(3)法務省 防御徹し懸念認めず

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 十八日に通常国会が閉会するまでの五カ月間、「共謀罪」法を所管する法務省の幹部や金田勝年法相が答弁する姿は、甲羅の中に閉じこもって防御に徹する亀のようだった。

 「一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象にならない」。金田氏は数え切れないほど繰り返した。警察が疑えば、誰でも捜査対象になり得るのに、どういう理屈なのか。

 金田氏は、一般人とは「何の団体にも属していない人」「通常の団体に所属して通常の社会生活を送っている人」のことなので捜査対象にならないという答弁を重ねた。犯罪組織と無関係の人は捜査対象にならないと述べているにすぎず、何の説明にもなっていない。その回数は四月二十八日から六月一日までに少なくとも二十六回あった。

 法務省幹部は記者に「技術的、細目的な話は刑事局長に任せればいい。大臣の答弁は、同じことを言っていればいいから楽だよね」と本音を漏らした。

 「犯罪の嫌疑が生じてからでなければ捜査は行われない」という答弁も多かった。だが実際には、法成立前から、警察がマークした人物の知人は何も知らなくても監視されてきた。

 例えば、元社会保険庁職員が休日に政党機関紙を配り国家公務員法違反に問われ、最高裁で無罪になった事件では、元職員と接触した人たちが警察の尾行対象になっていた。野党が追及すると、金田氏は「警察の活動については、法務省として答える立場にはない」と答えを避けた。

 大臣答弁を書くのは官僚だ。所管外のことを答えないのは役所としては正解なのだろうが、共謀罪の創設によって警察による監視強化が懸念されているのだ。法が及ぼす悪影響について知らぬ存ぜぬではあまりに無責任だ。

  (西田義洋)

 

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