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【社会】

<「共謀罪」論戦検証>(5)外務省 「テロ対象」根拠なし

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 「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が成立した翌日の十六日、岸田文雄外相は閣議後の会見で「テロを含む組織犯罪を防止する上で極めて重要で、成立を重く受け止める。できるだけ早期に国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結したい」と強調した。

 TOC条約は国連が二〇〇〇年に採択し、日本の国会も〇三年に承認した。「共謀罪」法は条約締結を目的につくられ、政府はテロ防止に不可欠だと説明した。だが国会審議を通じ、条約がテロ防止目的でなかったことが明らかになった。

 日本も参加した〇〇年の条約起草委員会で、エジプトが対象犯罪にテロ行為も含めるように求めた。十四カ国が賛成したが、日本は他の十七カ国と反対に回った。国会審議で岸田氏は反対理由を「国連ではテロの定義の結論が出ていない。定義の議論をすると条約がまとまらなくなる」と説明。当時、日本が「テロリズムを本条約の対象とすべきではない」と主張したことも認めた。

 野党がこの点を突くと、岸田氏は「この条約がテロとの深い関連の中で議論されてきたのは間違いない」と関連性を強調したものの、テロが対象だとは明言できなかった。

 政府は条約締結によって各国からテロ情報をもらってテロを防ぐともアピールしている。確かに条約に捜査協力の規定はあるが、義務規定ではなく、あくまで各国の判断だ。これでテロが防げるという印象を与え、誤解を招く。

 「共謀罪」法がTOC条約の締結を目的としながら、所管の外相が委員会審議に出席したのは衆参一度ずつの計二回だけ。条約の国会承認が済んでいるとはいえ、外務省の説明不足が、同法への理解が進まない一因ではなかったか。 (大杉はるか)

 

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