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【社会】

<「共謀罪」論戦検証>(8)国会 異論かき消す「一強」

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 多くの論点が深まらないまま成立した「共謀罪」法。かつて三度、国会で廃案となった法案と実質的に変わりがないのに、今回成立した背景には「安倍一強」とも言われる政治状況がある。国会審議にも、その影響は明らかだった。

 「あいまいな基準によって刑罰権の行使がなされる可能性が高いことは認めざるを得ない」。質問に立った議員が懸念を示した。野党ではない。小泉政権だった二〇〇五年の共謀罪法案審議での自民党議員の発言だ。公明党議員も当時「本当に制限的に考えないと、これは大変なことになる」と危機感を示した。

 ところが今回、与党は政府の主張に賛同するばかりで、慎重論は鳴りを潜めた。弁護士資格を持つ自民党の古川俊治参院議員が、用語の定義を巡る専門的な議論で政府の答弁者を困惑させた場面もあったが、民進、共産などの野党の質問と比べればわずかだ。

 与野党の構図で言えば、〇五年の審議時も現在と同じく衆参両院で自公両党が過半数の議席を占めた。衆院では、法案が参院で否決されても再可決して成立させられる三分の二以上を占めていたのも同じだ。

 異なるのは、与党内の様相だ。小泉純一郎首相の後継が取りざたされた当時と、安倍晋三首相を脅かす有力者不在の現在。首相の意向に公然と異を唱えても、同調の輪は広がりにくくなった。そして、与党内にあったはずの共謀罪への異論はかき消された。安全保障関連法など重要な法案の提出や政府の決定を前に、政府に多くの注文をつけてきた自公両党による「与党協議」も今回は行わなかった。

 結末は、参院委員会の採決を省略する「中間報告」による、本会議採決の強行だった。国会は国民の懸念に耳をふさぐように、会期を終えた。 (横山大輔)

 

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