東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

障害者男性を車に6時間放置、熱中症死か 埼玉・上尾

埼玉県上尾市の障害者施設「コスモス・アース」=13日夜

写真

 十三日午後三時二十五分ごろ、埼玉県上尾市戸崎の障害者支援施設「コスモス・アース」の駐車場で、止められた送迎用ワゴン車の中に同市の男性利用者(19)が倒れているのを職員が見つけ、一一九番した。男性は心肺停止状態で、病院で死亡が確認された。この日の同市の最高気温は三三・四度あり、同市消防によると死因は熱中症とみられる。発見時の体温は、平熱を大きく上回る四一・四度だった。

 職員がワゴン車から降ろし忘れ、男性は約六時間にわたり車内に取り残されていたとみられる。同県警上尾署によると、男性には何らかの知的障害があった。同署は職員らから事情を聴くとともに、車のロックの状態など詳しい経緯を調べている。

 県と上尾市消防によると、男性は十三日午前九時ごろ、他の施設利用者とともにワゴン車で到着。職員は「男性は到着時に下車したと思った」と話しているという。

 施設を運営するNPO法人の大塚健司理事長(75)によると、ワゴン車に乗っていた施設利用者は死亡した男性を含め五人。本来は降車時に複数の職員で点呼するが、他の利用者に気を取られるなどしたため、今回は怠っていた。昼食で利用者が一堂に集まったときも、男性の不在に気づかなかったという。

 コスモス・アースのホームページによると、施設は二〇一四年に同名のNPO法人(さいたま市)が開設し、定員は三十人。知的障害、精神障害、聴覚・言語障害などがある人が、生活介助を受けながら、作物の栽培・収穫作業などの作業を行うという。

◆「確認不十分だった」

 「大変な事故があり、本人と家族に本当に申し訳ない。私の確認が不十分だった」。コスモス・アースを運営するNPO法人の大塚健司理事長は十三日深夜、上尾市の施設で報道陣の取材に応じ、こわばった表情で陳謝した。

 大塚理事長によると、亡くなった男性は四月からこの施設に通い始め、この日は雑誌類の付録品と紙を分けるリサイクル作業をする予定だったという。

 施設では、通常、朝夕の送迎時の点呼と全員で食事を取る昼食時の三回、利用者の人数を確認できる機会があった。しかし、施設側は男性が送迎用ワゴン車から確実に降りたかどうかも確認せず、その後も不在に気づかなかった。送迎車は通常、中から開けられないチャイルドロックを使用しているが、この日はどうだったかは「控えたい」として明らかにしなかった。

◆同業者「放置あり得ない」

 男性が車内に約六時間放置され死亡した事故に、同業者からは「なぜそんなことになったのか。あり得ない」と驚きの声が上がった。

 埼玉県内で障害者支援施設を営む男性は「通常、乗り降りの確認で気付く。施設内にいなければ保護者に連絡するはずで、なぜ気付かなかったのか」と首をかしげる。

 コスモス・アースの近くに住む七十代女性は、利用者とみられる人たちが畑仕事や野菜の袋詰めをする姿を見掛けたことがあるという。事故の知らせに「びっくりしている」と言葉少なだった。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報