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【社会】

京産大「教員確保、困難に」 獣医学部新設断念を発表

 京都府とともに国家戦略特区を使って獣医学部新設を目指していた京都産業大学(京都市)は十四日、記者会見し、獣医学部構想を断念したことを正式に発表した。安倍晋三首相は六月下旬の講演で「二校でも三校でも、意欲あるところにはどんどん新設を認めていく」と発言したが、大学側は学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が学部を新設すれば、教員確保は難しいと判断。首相の言う「全国展開」は事実上、難しくなった。(中沢誠)

 京産大の黒坂光副学長は会見で、「もう新学部再編にかじを切っている。将来に向けても(獣医学部の設置は)考えていない」と明言した。断念の理由について「獣医学教育を担う教員が少ない中、加計学園が獣医学部を新設すれば、今後申請する大学が国際水準に資する優秀な教員を確保することは極めて難しくなる」と説明。安倍首相の講演での発言については「コメントする立場にない」とした。

 京産大は京都府とともに昨年三月、獣医学部新設を特区提案。一方、内閣府は学部新設を認める条件として、昨年十一月から今年一月にかけて「広域的に獣医学部のない地域に限る」「一八年度開学」「一校に限る」という条件を加えた。

 会見に同席した担当者は「『広域的に』の条件が加わったことで不利だなと思った」と説明。今年一月の獣医学部新設に関する告示に「一八年四月開学」と明記されたことで、加計学園の獣医学部計画が先行することが確実になり、最終的に断念したという。担当者は「一八年度開学は非常にタイトなスケジュール。予期していなかった」とも述べた。

 一方、加計学園とともに獣医学部新設を目指してきた愛媛県今治市は、公募十カ月前の昨年春から一八年度開学を想定。加計学園も特区認定前からボーリング調査など開学準備をしていた。

 黒坂氏は「いい構想ができていたと自負しているが、準備期間が足りなかった」と振り返った。京産大は既存学部を再編し、創薬などライフサイエンスに特化した新学部設置を目指すとしている。

◆恨み言言う気ない

<山田啓二・京都府知事の話> これから(獣医学部設置に向け)頑張ろうと思っていたので府としては少し残念だが、京都産業大が決定されたことなので尊重したい。今治の方は十数年(獣医学部設置に向け準備を)やってきた。四国に獣医学部が一つもないと訴えられ、競争に敗れた。恨み言を言う気はない。

◆特区座長が京産大批判「提案、熟度伴わず」

 京都産業大が国家戦略特区制度による獣医学部新設を目指す考えはないと改めて説明したことに対し、特区ワーキンググループ座長の八田達夫大阪大名誉教授は十四日、「十分な熟度を伴う提案ではなかったことが判明した」と、京産大を批判する異例のコメントを出した。

 八田座長は「特区の政策決定が要因ではなく、京産大の方針転換と理解している」と主張、政府側に問題はないとの姿勢を強調した。「二校目、三校目を早急に実現していくことが望ましい」と安倍首相の考えも支持した。

 特区諮問会議は昨年十一月、獣医学部の新設方針を決定し、開学時期を二〇一八年度と表明。今年一月、加計学園を事業者に認定した。

 

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