東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

平尾昌晃さん死去 「瀬戸の花嫁」「夜空」作曲

記者会見で五木ひろしさん(左)と写真に納まる平尾昌晃さん=2010年12月、東京都内で

写真

 「瀬戸の花嫁」「よこはま・たそがれ」などのヒット曲で知られる作曲家で、歌手としても活躍した平尾昌晃(ひらおまさあき)さんが二十一日午後十一時四十分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。七十九歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行い、後日お別れの会を開く予定。 

 米歌手エルビス・プレスリーに影響を受けロックンロールに傾倒。一九五八年に歌手デビュー、第一回日劇ウエスタンカーニバルに参加し、ミッキー・カーチスさん、山下敬二郎さんとロカビリー旋風を巻き起こした。

 カナダ出身の歌手ポール・アンカさんの「ダイアナ」などのカバーや「星はなんでも知っている」などで“和製プレスリー”として人気を集めた。

 六〇年代半ばから作曲家として活躍。布施明さん「霧の摩周湖」などで日本レコード大賞作曲賞を受けたほか、小柳ルミ子さん「瀬戸の花嫁」が日本歌謡大賞、五木ひろしさん「夜空」が日本レコード大賞を受賞した。

 歌手として活動も続け、畑中葉子さんとデュエットした「カナダからの手紙」がヒットした。

 NHK紅白歌合戦で二〇〇六年からエンディング曲「蛍の光」の指揮者を務めた。平尾昌晃ミュージックスクールを設立、新人歌手育成にも努めた。音楽活動の傍ら、少年院や福祉施設で慰問ライブを行い、チャリティーゴルフ大会を開くなどボランティアにも力を入れた。〇三年紫綬褒章。

◆「ぬくもり」作り続けた

<評伝> ぱっと情景が浮かぶ、ぬくもりのあるメロディー。二十一日に死去した作曲家平尾昌晃さんは、時が移ろっても人にとって心地よい音は変わらないと信じ、生涯を懸けて「人の心の中に入っていくような歌」を作り続けた。

 一九五八年に歌手としてデビューした平尾さんは「和製プレスリー」と呼ばれ、ロカビリーブームの立役者に。その後、数々の名曲を生み出す作曲家になったが、その転身は自身が望んだものではなかったという。

 「僕は体が弱くて、医者に『三年ぐらい肺を使っちゃいかんよ。作曲だったらベッドの上でもできるだろう』と言われた。それで歌うことを断念したんです」。二〇一二年に取材したとき平尾さんはこう振り返った。

 歌うことへの思いは強く、「白状するとね、自分が歌ったらどんなふうだろうって、(男性歌手に提供する曲は)自分に向けて書いているんです」とニコッと笑った。女性が歌う曲の場合は、歌手に似合う服装や季節を想像し、「プロデューサー的な感覚」で作曲していたという。

 大切にしたのは、心地よい音を瞬時に聞き分ける人の耳のほか、手作りによるぬくもりや温度。ヒット曲を分析し、機械的に作られた曲では感動させられないと断言した。「よこはま・たそがれ」「グッド・バイ・マイ・ラブ」…。歌い継がれる曲は、作詞家と気持ちが通じ、さらに歌手がその思いを共有したときに誕生したという。

 「洋楽、邦楽、民謡、童謡、何でも好き。楽しいものは全部取り入れちゃう」。分け隔てない音楽の好みは、ざっくばらんで気さくな人柄にも表れていた。写真撮影時に少しゆがんでいた襟をカメラマンが指摘すると、「気にしないで! 僕は優等生じゃないから」と笑い、冷めないうちにとお茶を勧めてくれた。

 音楽制作現場がデジタル化し、曲が“消費”される傾向が強くなる中、ラブソングが似合う人を育てたいと語った平尾さん。「ファンの人から歌ってと言われるような曲を作りたいな。そうすればいつまでも残るじゃないですか」。取材中、一番印象に残ったこの言葉は、後進への激励だったのかもしれない。(共同・不破浩一郎)

◆世に出してくれた

<歌手の五木ひろしさんの話> ただ驚いて、「まさか」という思いです。平尾昌晃先生と、(作詞家の)山口洋子先生のお二人が、五木ひろしを世に送り出してくださった。僕が今日あるのも「よこはま・たそがれ」をはじめ、いい曲をたくさん作っていただいたおかげで、本当に大恩人です。恩返しだと思って、歌い続けていきます。感謝の気持ちでいっぱいです。

◆本当に寂しいよ

<歌手で俳優のミッキー・カーチスさんの話> まーちゃん(平尾昌晃さん)とは進駐軍の仕事をしていた時代だから、十代の頃からの付き合いだった。(ロカビリー)三人男で日劇に出た時は、それぞれ、お互い良いライバルだったから楽しかったよ。けいちゃん(山下敬二郎さん)、まーちゃんと逝ってしまって残されちゃったね。本当に寂しいよ…。ご冥福をお祈りします。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by