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【社会】

相模原殺傷事件後「障害者の環境悪化」7割 304家族アンケート

事件発生から1年となった知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、献花する車いすの男性=26日午後、相模原市緑区で

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 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件から一年となるのを機に、共同通信が全国の知的障害者の家族を対象に実施したアンケートで、回答した三百四家族の七割近くが、事件後、障害者を取り巻く環境が悪化したと感じた経験があることが分かった。インターネットなどでの中傷を挙げた人が多く、利用する施設や職員への不安が増したとの回答も目立つ。「共生社会」の重要さが指摘される中、差別や偏見に苦悩する現状が浮き彫りになった。

 事件は二十六日で発生から一年。現場となった施設に設置された献花台には関係者や市民らが訪れ、犠牲者を悼んだ。結果について識者からは「生きる価値は障害者も健常者も変わらないことを社会は理解すべきだ」との声が出ている。

 アンケートは六月下旬から七月上旬にかけて実施。知的障害者の親らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」を通じて全国の家族に質問書を約五百五十部配布し、うち三百四家族が回答した。

 この中で、事件後、障害者に向けられる世間のまなざしや、障害者を取り巻く環境が悪化したと感じたことがあるかどうか具体的な項目を挙げて複数回答で尋ねた。その結果、「感じたことがある」としていずれかの項目を選んだり、「その他」の項目に内容を記述したりしたのは68%に当たる二百六家族に上った。

 項目別で見ると、「ネットなど匿名の世界で中傷が相次いだ」との回答が全回答者の中で31%と最多。また事件で起訴された植松聖(さとし)被告(27)がやまゆり園の元職員だったことから、「利用している施設(サービス)や職員への不安が生じた」と答えたのは28%。さらに「被告に措置入院の経験があり、精神障害者への偏見が強まった」は23%だった。

 「その他」の項目では、「新規の障害者施設が建ちにくくなった」「被告の考え方に同調する人が増えるのは怖い」といった記述があった。

 一方、今後の行政に求める施策についても複数回答で質問。「差別解消のため障害者の現状や課題を伝える社会啓発」としたのは71%だったほか、「(施設などの)職員教育の充実」が67%、「地域の理解を促すための交流事業」が65%と続いた。

 <相模原障害者施設殺傷事件> 2016年7月26日未明、知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刃物で刺され死亡、職員を含む27人が負傷。神奈川県警に逮捕された元施設職員植松聖被告は「意思疎通できない人たちを刺した」と供述。横浜地検は5カ月間の鑑定留置を経て、刑事責任能力が問えるとして今年2月、殺人や殺人未遂など六つの罪で起訴した。争点を絞り込む公判前整理手続きの日程は未定。最大の争点は責任能力の有無や程度となる見込みで公判の長期化は不可避との見方が出ている。

 

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