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【社会】

同僚事故死で殺人容疑 睡眠剤混入 准看護師を再逮捕

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 千葉県印西市の老人ホームの睡眠導入剤混入事件で、県警は一日、同僚の山岡恵子さん=当時(60)、同県佐倉市=に睡眠導入剤を飲ませて交通事故で死亡させたなどとして、殺人と殺人未遂の疑いで、准看護師波田野愛子容疑者(71)=殺人未遂容疑などで逮捕=を再逮捕した。逮捕は三回目。

 県警によると、波田野容疑者は、飲み物に睡眠導入剤を混ぜたことは認めているが「二人を殺そうと思ったことはない」と殺意を否認している。

 再逮捕容疑は、二月五日、山岡さんが車で帰宅することを知りながら、老人ホーム事務室で睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませて運転を誤らせ、対向車と衝突する交通事故を起こさせて殺害したほか、事故相手の男性=当時(27)、東京都足立区=を殺害しようとしたとされる。男性は事故で全治十日の軽傷を負った。

 県警によると、この事故の前、山岡さんは施設から車で出て約百メートル先の柵に車をぶつける物損事故を起こしていた。

 波田野容疑者が睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませた上、物損事故を起こした山岡さんに運転をやめさせなかったことなどから、県警は、事故を起こして死亡しても構わないとする「未必の殺意」があったとみている。

 県警は六月二十一日、三十代の女性職員に睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませたとする傷害容疑で波田野容疑者を逮捕。七月十一日には、さらに別の職員の女性(69)と、女性の夫(71)に睡眠導入剤入りのお茶を飲ませ、交通事故を起こさせたとして、夫婦と事故相手の男性(56)の計三人に対する殺人未遂容疑で再逮捕した。千葉地検は一日、傷害容疑と殺人未遂容疑について、処分保留とした。

◆遺族「母を尊敬 許せない」

 波田野容疑者が勤務していた老人ホームでは一日午後、寺田洋介施設長(44)が取材に応じ、「亡くなった職員は施設で中心になって働いていた人物ですので残念です。波田野容疑者も大事な職員でしたので、複雑です」と心境を語った。

 波田野容疑者にどのように取り調べに応じてほしいかを尋ねられると「真相が分かると良いですね」と言葉少なに語った。

 二月の事故で死亡した山岡さんの次男(36)は老人ホームを通じ、「母の仕事を尊敬していた。事実であるのなら許せない」とのコメントを出した。

◆山岡さん 同僚、入居者から信頼

 二月の交通事故で殺害された疑いがある職員の山岡恵子さんは、介護主任として同僚約十五人をまとめる中心的存在で、入居者にも信頼されていた。同僚らは「全てを失ってしまったように感じる」と惜しんだ。

 寺田施設長によると、山岡さんは入居者約五十人の介護方針を一人ずつ丁寧に決めていた。「みんなに楽しんでもらいたい」「地域に根ざしたい」といった思いも強く、地域住民らを招いた行事を企画。昨秋には、施設に小学生を招き、入居者としおり作りなどをして交流を深めた。

 各地で高齢者の交通事故が相次いでいることに心を痛めており、昨年末には地元の自動車学校の協力を得て、入居者や職員向けの運転講習会を開いた。

 同僚女性は「何事にも丁寧で発想も豊か。大好きだった」と悼んだ。近所の女性は「いつも愛想よくあいさつしてくれ、明るい人。働き者で朝早くから夜遅くまで忙しそうにしていた」と振り返る。

 施設関係者によると、山岡さんは、自身の約半年後に勤務を始めた波田野容疑者とも毎日のように言葉を交わすほど仲が良かったが、今年に入って二人にトラブルがあったという。二月五日夕方に車同士の正面衝突事故で死亡。事故の一報が施設に入ると、容疑者も病院に駆け付け、同僚と抱き合って「なんで死んじゃうの」と泣いていたという。

 施設では恒例行事が中止になるなど、今も事件を受けた混乱が続く。「山岡さんに全部頼り切っていた。『彼女がいてくれれば』と思うことばかり…」。寺田施設長は肩を落とした。

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