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【社会】

大洗被ばく事故「レベル2」 規制委暫定評価 プルトニウム吸引 異常事態

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 原子力規制委員会は二日の定例会合で、六月に起きた日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)の作業員内部被ばく事故について、深刻度をレベル7から0の八段階で示す国際評価尺度(INES)で、上から六番目の「レベル2」(異常事象)に当たると暫定的に評価した。作業員が放射性物質プルトニウムを吸い込む異常事態を厳しく判断した。これまで国内で起きた原発の事故やトラブルはほとんどがレベル0で、レベル1以上は極めて異例だ。

 レベル2は、一九九一年に関西電力美浜原発2号機(福井県)で蒸気発生器の細管が破断し、日本の原発で初めて緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動した事故に匹敵。他に九九年に停止中の北陸電力志賀1号機(石川県)の原子炉が一時的に臨界となったにもかかわらず二〇〇七年まで隠蔽(いんぺい)していた事故などがある。

 機構の被ばく事故では、作業員の今後五十年間の内部被ばく線量の推計は最も高い一人で、発がんリスクがわずかに上昇する一〇〇ミリシーベルト以上二〇〇ミリシーベルト未満だった。規制委は会合で、この被ばく線量がレベル2の基準に当たると判断した。一方、周辺環境への影響はないとした。規制委の田中俊一委員長は「作業員の安全確保は事業者の責任だ。機構は事故防止の体制を整えるべきだ」と述べた。

 INESでは、東京電力福島第一原発事故や、八六年のチェルノブイリ原発事故は最悪のレベル7(深刻な事故)で、九九年の東海村臨界事故はレベル4(事業所外への大きなリスクを伴わない事故)だった。

 被ばく事故は六月六日午前に発生。作業員が点検で貯蔵容器を開けるとビニールバッグが膨らんで破裂。プルトニウムなどが飛散し、五人が内部被ばくした。放射線の影響でバッグ内にガスが発生したとみられる。

<解説> 日本原子力研究開発機構の作業員被ばく事故について国際評価尺度(INES)に照らせば、原子力規制委員会は「レベル2」(異常事象)という重い判断をせざるを得なかった。背景には、放射性物質プルトニウムを吸い込む異常な事故が起きたことや、放射性物質のずさんな管理が長く続いていたことがある。機構は安全に対する考え方を根本から改める必要がある。

 機構のずさんさが判明したのは、原子力規制庁が昨年実施した保安検査がきっかけだった。茨城県東海村の研究所で、放射性物質を密閉した状態で取り扱う装置が「貯蔵」の許可を受けていないのに、使用済み燃料を二十年以上保管。これを受け機構が六月、プルトニウムが入っていた貯蔵容器を開封し事故が起きた。

 この容器は一九九六年に点検され、内部のビニールバッグが膨らむなど今回の事故と類似した異常が確認されながら、その情報は機構内で十分に引き継がれなかった。きちんとした管理が行き届いていれば、事故は防げたかもしれない。

 事故時の作業でも緊張感が欠けていた。作業員が鼻と口を覆う半面マスクを使用する際、適切に装着されているか確認する機器を使用させていなかった。

 機構は、事故で露呈した組織の「甘さ」に向き合い、再発防止に努めなければならない。 (共同・永井なずな)

 

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