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【社会】

学校に常勤看護師を 川崎の母、市議会に請願

小関リナさんのたんの吸引をする母親かおりさん=川崎市宮前区の自宅で

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◆子に医療ケア 付き添い全国388件

 重い病気を抱える子どもが普通学級で学べるよう、教育現場に看護師を常駐させてほしいと訴える請願が川崎市議会に出された。現在は母親が学校に付き添い、流動食の摂取、たんの吸引など医療的ケアを行っている。同様に保護者が付き添う事例は全国公立小中学校で三百八十八件あり、自治体の手厚い支援の在り方が課題となっている。 (山本哲正)

 請願を出したのは、川崎市宮前区の小関かおりさん(48)。次女の市立小五年リナさん(11)にはダウン症と脳性まひの持病があり、自力で歩けない。喉に付けた器具で呼吸し、胃に穴をあけて通したチューブで栄養を送っている。

 学校へは小関さんが車で送迎し、たんの吸引に備え下校まで校内で待機する。休み時間にはチューブで水分補給し、給食はミキサーで流動食にして注入する。

 夫は入院中で、収入はない。リナさんの姉の中学二年の長女もおり、小関さんは「長女の大学進学の夢をかなえるには、私が働かなくては。看護師が学校にいてくれると、送迎以外の時間に働けるのですが…」。

 市議会への請願は、リナさんが通う小学校と将来進学する中学校に、医療的ケアをしてくれる常勤看護師を配置すること。六月七日に受理されたが、審査時期は未定で、訴えが実現するかは不透明だ。

 市によると、ケアが必要な児童生徒は、市立小中学校に十一人いる。市には一週間に最大三時間、看護師を学校に派遣する制度があるが、小関さんの望みは制度の拡充だ。

 常勤の看護師がいる特別支援学校に通わせる選択肢もあるが、車で片道二十分かかる不便さや、「地域に友達をつくってやりたい」との親心から、地元の学校に通わせたいと願う。「地域の人たちにも、こういう子が住んでいると知っていてほしいのです」

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◆国補助でも少ない導入

 医療の進歩により、重い病気を抱えながら家庭で暮らす子どもが増えている。たんの吸引などが日常的に必要な「医療的ケア児」(十九歳以下)は、厚生労働省の二〇一五年度の推計で全国に約一万七千人と、十年前の一・八倍だ。

 公立小中学校に保護者が付き添う事例は、文部科学省の一五年五月現在の調査で全国に三百八十八件。うち三百二十六件が「看護師が学校にいない」「常駐ではない」と答えた。

 国はサポートを手厚くしようと昨年度、児童福祉法に支援を明記。これに伴い、自治体が小中学校に看護師を常勤させたり、一時派遣したりする経費の三分の一の補助を始めた。

 これを活用し、首都圏政令市で唯一、看護師を常駐させているのが横浜市だ。本年度から医療的ケア児一人が通う小学校に置いた。経費は六百万円で、うち四百万円が市の負担。市内には対象児童が他に八人おり「要望が出れば前向きに検討したい」。

 一方、東京都内では昨年五月現在、看護師計九人がケアに当たる。ただ事業主体は区などで、都は常勤か一時派遣か把握していないという。

 NPO法人医療ケアネット(京都市)の中畑忠久理事は「子どものケアで忙しく、地域から孤立する保護者は多い。自治体はそれぞれの事情に合わせ柔軟に対応してほしい」と話している。

 

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