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【社会】

厚木この日もヘリごう音 米艦載機、岩国移駐開始

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 米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機移駐計画の第一陣として、E2D早期警戒機五機が九日、岩国基地(山口県)に到着し、来年五月までに計六十一機を移す計画が本格的に始まった。米軍の航空戦力は西日本に集中し、朝鮮半島情勢の緊張が続く中、極東最大級の軍事拠点化が進む。

 岩国市によると、今年三月時点の所属機は約六十機。FA18戦闘攻撃機やEA18G電子戦機など原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機が段階的に移り、完了後は約百二十機と倍増し、嘉手納(かでな)基地(沖縄県)に並ぶ規模に拡大する。

 近年、基地の機能強化が進み、今年一月には最新鋭ステルス戦闘機F35を米国外で初めて配備。専門家は「中国や朝鮮半島の情勢をにらんだ運用」と指摘する。

 軍人・軍属や家族ら計約三千八百人も移住し、米軍関係者の数は一万人を超え、市の総人口約十三万七千人(八月一日現在)の一割に相当する。

 移駐計画は日米両政府が二〇〇六年に合意した在日米軍再編の一環で、国は基地負担が増す岩国市や周辺の山口県和木、周防大島両町に交付金や補助金を支給。岩国市は〇八年度に始まった米軍再編交付金として、二二年度までに計約二百一億五千万円を受給する。

◆厚木の騒音「本当になくなるのか」

 艦載機が岩国へ移駐して騒音が減るはずの厚木基地では、九日も複数の米軍ヘリが着陸を試み、周辺にごう音を響かせた。「移駐で負担が減る」と期待する声がある一方で、「本当に騒音はなくなるのか」といぶかる見方も出ている。

 厚木基地には移駐後も米軍のヘリ部隊が残るほか、共同使用する海上自衛隊の哨戒機など約五十機もそのままになる予定。それだけでなく、米軍基地の監視を続けている市民団体「リムピース」の金子豊貴男(ときお)共同代表(相模原市議)などによると、五、六日に他の基地に所属する海兵隊の戦闘攻撃機が、六、七日には、本来は岩国へ向かう予定だったE2D早期警戒機五機が悪天候を理由に飛来した。

 金子共同代表は、E2Dの飛来について「今回は悪天候だったかもしれないが、今後もさまざまな都合で、厚木と岩国を一体で運用していくことを最初から示した」と指摘。その上で、「他の基地から飛んでくれば騒音はなくならない」と警戒感を強めていた。

米軍岩国基地に到着したE2D早期警戒機=9日午後、山口県岩国市で

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◆「観光には死活問題」岩国懸念

 米空母艦載機の岩国基地移駐計画は既に関係自治体が容認し、地元財界も経済効果に期待を寄せるが、岩国市民らの間では基地の機能強化に伴う騒音や治安の悪化を懸念する声が根強く聞かれた。

 移駐に反対してきた市民団体「リムピース」共同代表の岩国市議・田村順玄さんは、米軍の新型輸送機オスプレイがオーストラリア沖で墜落した事故に触れ「政府が飛行自粛を要請しても、(日米両政府の取り決めは)絵空事だ。岩国でも艦載機の事故が起こる可能性がある」と話した。

 岩国基地から、わずか十数キロの宮島(広島県廿日市(はつかいち)市)には世界遺産厳島(いつくしま)神社があり、観光面の影響を指摘する声も。土産物店を経営する正木文雄さん(67)は「島の一部では夜間訓練の騒音が響く。今年の来島者数は過去最高の見込みだが、うるさいイメージが付けば死活問題になる」とこぼす。

 一方で、軍人・軍属や家族ら計約三千八百人が移住する見通しとなっており、基地関係の仕事を請け負う岩国市の建設会社役員安本早己(はやみ)さん(64)は「基地の外の一般住宅を希望する人たちがおり、一戸建ての相談が増えてきている。今後も需要は増加するだろう」と意気込んだ。

 

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