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【社会】

お墓が足りない 都、合葬へシフト 終の安らぎ ともに

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 東京都内で暮らす人たちが墓地不足問題に直面している。空きのある他県の霊園を頼ったり、自宅で遺骨を保管したりする人も。都は、複数の遺骨を一緒に埋葬する合葬墓地などの整備を進めているが、多くの人が望むのは「家族のお墓」。合葬に抵抗感を持つ人は少なくない。墓参りに出掛ける人が増えるお盆を迎え、都内の事情を探った。 (木原育子、写真も)

 「夫と一緒に入りたいから、自分たちのお墓を持ちたい時もあった」。今月上旬、東村山市の都立小平霊園に来ていた練馬区の女性(71)は、夫の眠る芝の生えた小高い丘状の合葬墓地に、手のひらを合わせた。

 夫を三年前に亡くし、この墓地に埋葬した。二人の子どもは独立し、都外で働いており、墓を持っても管理を続けられるか分からないためだった。合葬について「他人とのお墓に抵抗はあった。でも、管理の手間もかからず、大勢の人にお参りしてもらえる」と打ち明けた。

 都立霊園には、個人で墓石を管理する一般墓地と、合葬墓地などがある。都は用地取得の難しさなどから、一般墓地は増設せず、合葬墓地で対応する方針だ。団塊世代の高齢化に向けて、二十年ほど前から準備をスタート。一九九八年の小平霊園を皮切りに、多磨霊園(府中市)、八柱霊園(千葉県松戸市)と、二〇一三年までに計十七万九千体分を整備した。都立霊園には百三十一万体の遺骨があり、新たに13%分を確保したことになる。

 一六年三月の都の調査では、合葬墓地などを「墓地事情などを考えれば利用してもよい」は48%、「積極的に利用したい」が15%に上る一方で、「利用するつもりはない」も32%あった。一般墓地の応募倍率は毎年平均七倍前後なのに対し、合葬墓地は三倍程度にとどまるなど、一般墓地へのこだわりは根強いようだ。

 また、都が〇八年に公表した推計では、墓地の需要は年二万基程度とされるが、都内での供給は民間と公営分を合わせても年六千基程度。需要は二八年に三万基、四〇年に四万三千基まで増えると推測している。

 都の担当者は「住宅事情と同じ。マイホームのように一般墓地を望む方は多いが、マンションのような共同住宅型の合葬墓地でお墓を共有しないと回らない」と説明。全日本墓園協会の横田睦(むつみ)主任研究員は「お墓と死者の数合わせではなく、市町村も協力して供給量を探り、都内全体で考えるべき時がきているのではないか」と指摘する。

<都立霊園と合葬墓地> 都立霊園は1943(昭和18)年の都政施行に伴い、東京市の霊園事業を引き継いだ。8カ所ある都立霊園に墓を持つ人は、昨年4月現在で計27万5900人、埋葬数は延べ約131万体。全日本墓園協会の調査によると、全国に500カ所以上ある合葬墓地のうち2割は都内。

 

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