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【社会】

マゼラン 大小銀河が遭遇 巨大星団誕生

大マゼラン銀河にある巨大星団R136(中央の青い部分)=NASAホームページから

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◆名古屋大 宇宙の神秘 一端解明

 銀河系に最も近い銀河の一つの「大マゼラン銀河」にある巨大星団「R136」が、太陽の三千万倍という質量の巨大水素ガス雲と銀河との衝突によって形成されたことを名古屋大大学院理学研究科の福井康雄特任教授と博士前期課程二年柘植紀節(きせつ)さんらの研究グループが突き止めた。巨大星団の形成過程はこれまで不明とされてきた分野で、宇宙の神秘の一端を解き明かした。 (坪井千隼)

 巨大星団は、水素やヘリウムを主成分とした太陽のような恒星が数万〜数十万個集まってできる。銀河系でも二百個ほど観測されているが、いずれも百億年以上前にできており、形成過程を調べるのが困難だった。R136は、宇宙の時間単位としてはごく最近の二百万年前にできたばかりで、地球からの距離も十六万光年と近いため、研究チームは誕生の経緯を知る手掛かりを得やすいと考えた。

 名大が南米チリに設置した電波望遠鏡「NANTEN2」や、オーストラリアの電波望遠鏡を使って観測したところ、R136付近で大量の水素ガス雲が動いていることが判明。詳細にデータ分析した結果、このガス雲は二億年前、大マゼラン銀河に、隣にある「小マゼラン銀河」が接近して近くをかすめた際、小マゼランの重力で大マゼランからはぎ取られたものと結論付けた。

 ガス雲はいったん大マゼランから離れた後、大マゼランの重力によって秒速百キロの猛スピードで引き戻され、大マゼランに衝突。その際、ガスが急激に圧縮されて多くの恒星が一度に生まれ、R136が誕生したと考えられるという。

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 この衝突は現在も続いており、今後も新たな星団や恒星が生まれるとみられる。銀河系にある巨大星団も、こうした銀河同士の接近や衝突が引き金になった可能性があるという。

 福井特任教授は「銀河同士の遭遇が巨大星団の誕生を引き起こしたことが分かった。銀河の進化の謎を解く大きな一歩だと思う」と話している。

<星団と銀河> 星団は、太陽のように自ら光を放つ恒星の集まり。小型の星団は数十個程度の恒星からなるが、巨大星団には数万〜数十万の恒星が集まっている。一方、銀河は恒星とガスやちりなどの星間物質で構成され、太陽系のある銀河系には数千億の恒星があるとされる。大マゼラン銀河は、銀河系と比べて質量は10分の1程度。隣にある小マゼラン銀河とは互いに公転し合っている。

 

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