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【社会】

<メガソーラー 共存への課題>(上)少なくなった野鳥 千葉・成田 印旛沼

印旛沼の脇にできたメガソーラー=千葉県成田市で、本社ヘリ「まなづる」から

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 千葉県成田市の湿地に、大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が建設され、希少な野鳥が見られなくなったとの投稿が本紙に寄せられた。メガソーラーは各地で増えているが、環境保全や景観などを巡り、地元住民とのトラブルを引き起こすケースもある。共存の道はあるのか。三つの現場を歩いた。 (小野沢健太)

 七月の晴れた日、本紙に投稿した日本野鳥の会の林庭(はやしば)弘征さん(63)=相模原市=と、成田市の印旛沼に向かった。最寄り駅から約十五分で、田園風景の中に太陽光パネルが見えてきた。鳥を探しながら歩いたが、聞こえてくるのは風の音ばかり。「アシ原だったころは、渡り鳥がいない時期でも、鳥の鳴き声でうるさいくらいだった」

 一四・二ヘクタールに及ぶ発電所の敷地は、民有の空き地でアシが茂っていた。国が絶滅危惧種に指定するオオセッカやコジュリンの生息地で、夏も見られたという。今は湿地の面影はなく、整地された地面からは砂ぼこりが舞っていた。

 発電所の周囲を約二時間かけて歩き、姿を確認できたのはスズメとツバメ、アオサギ。林庭さんによると開発前は五十種近くがいたというが、今回は、鳴き声だけ聞こえたものを含めても、十種に満たなかった。今夏、三十種近く確認できた日もあったが、二〇一五年七月に発電所が完成して以降、オオセッカとコジュリンは確認できていないという。

 近くに住み、建設計画が持ち上がった一三年に自治区長を務めていた出山修さん(68)は「バードウオッチャーが集まる場所だが、生物保護について事業者から説明を受けたことはない」と、当時を振り返る。

 事業者による住民説明会は、敷地の埋め立てについて市の条例に基づいて開かれた。汚泥などを処理した土で埋めることに住民は反発し、処理土は使われなかった。事業者の親会社の広島建設(千葉県柏市)は取材に対し、生態系への影響について「建設前後の鳥の数や状況が分からず、答えられない」とした。

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 建設地は県立自然公園の区域内だが、保護区域ではなく、当時は太陽光発電所の建設時に自治体への届け出などは必要なかった。現在では、環境省の省令に基づいて県が条例を改め、自然公園内に一千平方メートルを超える太陽光発電所を設置する際、届け出が必要だ。

 県自然保護課の担当者は、建設地に希少種が生息していたことを「認識していた」と話したが、当時は生物保護について業者からの問い合わせはなく、県も指導していないという。

 「太陽光発電は環境保護の観点から必要だと思う」と話す林庭さんは疑問を呈す。「アシ原にも貴重な命がある。生物の生息調査もせずに開発できてしまうのはおかしい」

 

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