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【社会】

闇サイト事件10年 犯罪情報 ネット深く

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 見ず知らずの人物がインターネット上で知り合い、凶悪犯罪に手を染める−。二十四日で発生から十年となった闇サイト殺人事件は、新たな犯罪手口の象徴として社会に衝撃を与えた。事件で使われたサイト「闇の職業安定所」は閉鎖されたが、違法行為の情報などは「ダークウェブ」と呼ばれる水面下のサイトなどに潜り、巧妙に飛び交う。捜査関係者は「インターネットはもはや、あらゆる犯罪の温床になっている」と捜査が複雑化する現状を指摘する。 (中尾吟、市川泰之)

 「Murder Types Regular $45000(通常タイプの殺人 四万五千ドル)」

 昨年、愛知県警の捜査員がダークウェブでの犯罪を捜査中、殺人請負をうたう英語サイトを見つけた。殺害の手法や、対象者が一般人か要人かによって、報酬が細かく区分されていた。

 こうした殺人請負のサイトは複数、存在が確認されている。ダークウェブには金品をだまし取るための詐欺サイトが多いとみられるが、捜査当局が実態を把握するのも困難だ。

 企業や官公庁に助言するサイバーセキュリティー企業「スプラウト」によると、活発な取引があるダークウェブの犯罪サイトでは、薬物や児童ポルノ、武器、クレジットカード情報などの売買が横行。サイバー攻撃などを請け負うサイトも存在する。

 しかし、これらの犯罪行為の取り締まりは、一筋縄にはいかない。ダークウェブのサイトは、接続元を分からなくする匿名化ソフト「Tor(トーア)」を使って接続するため、情報の発信元の追跡に技術的な困難が伴う。国内でこれまで摘発されたダークウェブを使った犯罪は、愛知県警が昨年三月、ウェブ上で銀行口座を売り渡そうとした男を逮捕した事件など、数例にとどまっている。

 ダークウェブを使った犯罪は国境を問わず広がるため、各国は連携して取り締まりを強化。米国などの司法当局は今年七月、薬物や銃器の違法売買を大規模に行い、世界最大の闇サイトといわれた「アルファベイ」の運営者を拘束するなどし、サイトを閉鎖に追い込んだ。

 愛知県警のある捜査幹部は「闇サイト事件以降、ネットでつながろうとする犯罪者たちは、次々に手法を変え、より闇に逃れることで摘発を免れてきた。国レベルの対策を早急に進めていく必要がある」と話す。

<ダークウェブ> インターネット空間は、グーグルやヤフーといった一般的な検索サイトから閲覧できる「サーフェースウェブ」と、会員制交流サイト(SNS)の非公開ページなど、検索サイトからは見られない「ディープウェブ」に分かれている。ダークウェブは、ディープウェブに分類され、さらに匿名化ソフト「Tor(トーア)」などを使わないと接続できない闇サイト。秘匿性が高いため、違法な取引の温床とされる。一方、言論統制が厳しい国々の活動家らが、自由に情報発信するためのツールでもある。ダークウェブ上での代金の支払いには「ビットコイン」などの仮想通貨が使われる。

 

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