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【社会】

認知症で踏切事故 家族に高額請求 大和市が保険加入 最大3億円を賠償

 認知症の高齢者が徘徊(はいかい)中に踏切事故に遭うなど、不測の事態で家族が高額の損害賠償を求められるケースに対応しようと、神奈川県大和市は二十四日、賠償金として最大三億円が支払われる保険に加入すると発表した。市によると、公費によるこうした取り組みは全国で初めてという。

 認知症の高齢者を巡っては二〇〇七年、愛知県大府市で男性が東海道線の電車にはねられて死亡し、家族がJR東海から七百二十万円の賠償を求められる訴訟があった。一審、二審とも家族に賠償を命じたが、最高裁は昨年三月、「監督が容易な場合は賠償責任を負うケースがあるが、今回は困難だった」としてJR東海の請求を棄却している。

 大和市には小田急線や相鉄線などの八つの駅と三十二の踏切がある。認知症高齢者の家族から「事故が起きた場合、どこまで責任を負うのか」といった相談があったことから、公費で民間保険会社と契約して対応することにした。

 対象は、徘徊の危険性が高いとして、発見や保護を目的に市と関係団体がつくる「はいかい高齢者等SOSネットワーク」に登録している人。七月末時点で二百三十七人おり、市は三百二十三万円を補正予算案に盛り込み、三十日開会の市議会に提案する。

 保険金は、鉄道会社などへの個人賠償責任が認められた場合、最大三億円の範囲内で肩代わりする。対象者が事故で亡くなった場合は遺族に最大三百万円、入院や通院した場合にも一日千二百〜千八百円が支払われる契約になる見通し。

 結城康博・淑徳大教授(社会福祉学)は「認知症の高齢者を抱える家族や、本人にとっても住みやすい街づくりへの一歩になり、評価できる取り組みだ。全国的に広げるには、民間保険を活用するのでなく、公的制度としてこのサービスを構築することが求められる」と指摘した。 (井上靖史、寺岡秀樹)

 

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