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【社会】

19世紀欧州アンティーク金貨 投機目的 富裕層が注目

アンティークコイン「ウナライオン」=東京都中央区銀座の「ユニバーサルコイン」で

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 百年以上前に欧米などで発行された通貨「アンティークコイン」の人気が高まり、価格が上昇している。収集そのものを楽しむコレクターだけでなく、投機目的の富裕層が購入し始め、一枚数千万円で売買されるコインも。ただ取引記録を残す義務がなく、第三者から取引内容を把握されにくいことから、国税当局は資産隠しなどに悪用されていないか注目し始めている。 (石井紀代美、写真も)

 東京・銀座のコイン取扱店「ユニバーサルコイン」。女王の顔などが刻印された金貨が、透明なケースに一枚ずつ納められて陳列されている。「発行数量が少なく、希少性の高いものの価格が右肩上がりになっている」。経営する西村直樹社長が語る。

 中でも人気が高いのは、十九世紀中期の英国で、限定四百枚で発行された通称「ウナライオン」と呼ばれる五ポンド金貨。西村氏によると、海外オークションでの平均落札額は二〇一二年に一枚六万ドル(六百六十万円)だったが、一六年に三十四万七千ドル(三千八百万円)に跳ね上がった。他に、一八二六年の英国で百四十枚発行された国王ジョージ四世の肖像画入り金貨も高騰している。

 銀座にある創業約五十年の老舗「銀座コイン」によると、人気のきっかけは、世界的な金融危機を招いた二〇〇八年のリーマン・ショック。有価証券や自国通貨などに不安を感じた富裕層が買い始めたという。

 同社の竹内祐司社長は「もともと歴史好きの人が買っていただけだったのに、もうけるためだけに買う人が出てきた。『高すぎて手が出ない』と困っている顧客もいる」と説明。「コインによっては、現存枚数よりも欲しがる人の数が多く、この勢いが続くだろう」と予想する。

 国税関係者によると、購入時より価格が上昇して売却で利益が出た場合、所得税の課税対象となる。不動産なら所有権移転登記が必要。資産運用に使われる金塊や生命保険、FX口座であれば、業者が取扱内容を税務署に提出する義務がある。しかし、コインの場合はこうした必要がなく、誰がどれだけ利益を得たのか把握しにくい。

 都内の取扱店の中には、国税当局から「顧客リストはないか」と任意提出を求められた店もある。国税関係者の一人は「どうせばれないだろうと、売却して得た利益を申告していない人もいるはずだ」と警戒している。

 

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