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【社会】

「離陸後数回ボン」 日航機トラブル 乗客、着陸に安堵

トラブル発生当時、機体を軽くするため右翼から放出される燃料=5日、乗客の柚木辰徳さん撮影

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 連続した破裂音、火を噴くエンジン−。五日午前、羽田空港を離陸したニューヨーク行き日航機が引き返したトラブル。「どうしたのか」。エンジンの異常発生や燃料放出を告げるアナウンスに、乗客たちは不安げに顔を見合わせながらも、機内は落ち着いた様子だったという。けが人もなく、無事着陸できたことに安堵(あんど)の声が広がった。

 トラブルが起きた日航6便ボーイング777は、五日正午すぎ、羽田に着陸。機を降りた乗客たちは、日航が用意したラウンジで待機するため、ターミナルに移動した。

 トラブル発生時、空港近くの野球場にいた千葉県茂原市の八代美紀さんは「バーンという連続した大きな音が聞こえて飛行機を見ると、左側のエンジンからオレンジ色の火が出ていたのでびっくりした。低い高度で急旋回し、落ちないかと心配した」と振り返る。

 破裂音は機内でも聞こえた。米国の高校に通い、学校が始まるため搭乗していた柚木辰徳(ゆずきたつのり)さん(17)によると、離陸後間もなくして四、五回、ボンと音がした後、羽田空港へ折り返すとのアナウンスが流れた。

 窓から外を見ると、右翼の先端に近い部分から、白い物体が噴き出しているのが見え、その後「機体を軽くするため、燃料を放出している」とアナウンスがあった。柚木さんは「機内では燃料の臭いもせず、言われないと分からなかった」と振り返り、「何度も飛行機に乗ってきたが、こんな経験は初めて」と驚いた。

 ニューヨーク在住のヘアスタイリスト遊佐(ゆさ)崇さん(37)によると、機内では乗務員から乗客へ「確実な対応ができるよう訓練しているので、安心してください」と声掛けがあった。乗客同士が顔を見合わせ「何があったのだろう」とささやく声も聞こえたというが、大声を出したりする人はなく「乗客も落ち着いていて、不安はなかった。無事に着陸してよかった」と話した。

◆エンジン1基でも安全に飛行 2基搭載が主流

 左のエンジンから出火した日航のボーイング777は左右の主翼に一基ずつのエンジンを搭載する双発機で、引き返す際は右エンジン一基のみの推力だけで飛んだ。近年の旅客機はエンジン二基の機種が主流で、うち一基がトラブルを起こしても、残る一基だけで十分な推力があり、安全に飛行を続けられるよう設計されている。

 双発機で長距離路線を運航する場合、エンジン一基だけでも飛べる時間を定めた国際基準をクリアする必要がある。日本の国土交通省は、この基準を満たしていなければ、飛行に必要な「耐空証明」を出さない。実際にエンジン一基だけで飛ぼうとすると、推力のバランスが崩れ、エンジンが止まった側に向けて旋回しようとする。このため、垂直尾翼の方向舵(だ)を使ってバランスを取る必要がある。

 航空会社はこうした状況を想定したシミュレーターによる訓練をパイロットに課している。また777はコンピューターが操縦を補助しており、操作は難しくない。

 鳥が機体に衝突するバードストライクや、内部の故障で片方のエンジンが止まるケースは珍しくない。ただ、二〇〇九年、米ニューヨークのハドソン川に不時着した旅客機のように両方のエンジンが止まらない限り、墜落などの事態は考えにくいという。

 航空評論家の中村浩美さんは「たとえ太平洋の真ん中で一基止まっても空港に戻ることができる」と話している。

 

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