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【社会】

息子の死なぜ 真相待つ母 都立高1自殺、月内にも調査結論

息子がくれた手紙を読み返す母親=都内で

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 「息子はなぜ死ななければいけなかったのか、答えが知りたい」−。二〇一五年に東京都立小山台高校一年の男子生徒=当時(16)=が自殺してから、二十七日で二年。母親はいじめが原因との疑念を持ち、都では初めて、「いじめ防止対策推進法」に基づく専門の調査組織が設置されるケースとなった。結論は月内にも公表される見通しで、母親は真相が明らかになることを願う。 (唐沢裕亮)

 都内の自宅の勉強机には今も、当時と同じように教科書や参考書、眼鏡が並ぶ。居間のカレンダーは、亡くなった一五年九月のまま。「二年近くたつのに何も分からない。当時から全く進んでいない」。母親は無念をにじませる。

 生徒はJR中央線大月駅(山梨県)のホームから飛び込み、電車にはねられた。遺書はなく、母親は自殺の理由も思い浮かばなかったが、短文投稿サイト「ツイッター」には「死んでしまいたい」などと書き込んでいた。

 「息子の思いを拾えるのは私しかいない」。学校側の調査に役立てばと、書き込みの言葉を一つ一つ、泣きながら確認した。母親によると、入学した年の夏の水泳大会前、同級生にやせている体形をからかわれたり、泳ぎ方がおかしいとばかにされたりしたと、こぼしていた。

 学校側が他の生徒に行ったアンケートで、息子が孤立していた状況を回答した同級生がいたほか、自殺後に判明した無料通話アプリ「LINE(ライン)」の友人とのやりとりには、トラブルをうかがわせる内容もあったという。

 「小さいころから宇宙や星に興味を持っていた」。科学者になる夢を抱き、理系に強いとされる小山台高を志望した。弦楽班(軽音楽部)と生物班に所属。亡くなる一週間前には文化祭で楽しげにキーボードを演奏し、前日も「クリスマスライブをやるから見に来てね」と話していた。それなのに、なぜ…。

 小学校と中学校の卒業時に息子がくれた手紙は、今も肌身離さず持ち歩く。時折読み返す文面には、感謝の言葉とともに、「お母さんを楽させてあげます」。

 「毎日、戻ってきてほしいと思っている。何年たとうが気持ちに区切りを付けることはできない」

◆初の調査部会 いじめ有無議論

 生徒の自殺を巡っては、その二年前にできた対策推進法に基づき、都教育委員会のいじめ対策委員会が調査部会を設置した。生徒のツイッターの内容や校内アンケートから、いじめの可能性を調べる必要があると判断したためだ。

 都教委によると、部会は生徒の自殺から約四カ月後の一六年一月に発足。学識経験者ら八人のうち四人は生徒の遺族が推薦した。

 これまで非公開で約六十回の会合を重ね、学校側の調査とは別に、ほかの生徒や教職員への聞き取りなどを行い、いじめの有無などを議論してきた。

 調査開始から一年七カ月が過ぎ、母親は「その間、中間報告もなかった」と話す。都教委の担当者は「遺書もなく、自殺の明確な理由が分からない中、遺族の意向に沿うよう丁寧かつ慎重に調査を進めてきた」としている。

◆これまでの主な経過

2015年4月  生徒が小山台高に入学

   9月25日 最後の登校

   9月26日 体調不良で学校を休む

   9月27日 JRの駅で飛び込み自殺

 16年1月25日 都教委が調査部会を設置

 17年9月?  都教委が調査報告書を公表

<いじめ防止対策推進法> 2011年に大津市の男子中学生がいじめを苦に自殺した問題を受け、13年に議員立法で制定された。いじめが疑われる重大事態ととらえた場合、教育委員会などが組織を設けて調べる。都教委は重大事態として14、15年度に各2件の計4件を認定。このうち15年度の小山台高1年の男子生徒の自殺について、第三者委員会の調査部会を初めて設けた。

 

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