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【社会】

朝鮮学校の無償化除外は「適法」 東京では原告敗訴判決

朝鮮学校無償化訴訟の判決後、記者会見する原告(手前2人)=13日、東京・霞が関の司法記者クラブで

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 国が朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法として、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の元生徒六十二人が、国に一人当たり十万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(田中一彦裁判長)は十三日、「除外は不合理とはいえない」と述べ「適法」との判断を示し、請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

 田中裁判長は判決理由で、公安調査庁の国会答弁などから「朝鮮学校が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と密接な関係にあり、適正な学校運営が行われていないことが疑われる」との国側の主張を追認。「文部科学相の裁量権を逸脱しているとはいえない」との判断を示した。

 原告側は「拉致問題など政治的な理由で教育の機会均等を奪った」と主張したが、判決は「裏付けになる証拠はない」と退けた。

 朝鮮学校の無償化除外を巡る訴訟は二〇一三年以降、全国五カ所で起こされており、今回は三件目の判決。今年七月の広島地裁判決は朝鮮学校側が敗訴。一方、同月の大阪地裁判決は「外交的、政治的判断に基づいており違法だ」として国側敗訴を言い渡し、判断が分かれていた。名古屋地裁と福岡地裁小倉支部で審理中。

 高校無償化は民主党政権下の一〇年四月に開始。公立高は授業料が無料となり、私立高には就学支援金が支給されるようになった。要件を満たせば外国人学校も対象となる。全国の朝鮮学校も文科省に適用を申請したが、民主党政権が結論を先送り。自民党が政権復帰した直後の一三年二月、正式に対象外とした。その直前、当時の下村博文文科相は会見で「拉致問題の進展がないことなどから現時点では国民の理解が得られない」と述べていた。

◆元生徒「未来奪う判決」

 「悔しい気持ちでいっぱいだ」。判決後、記者会見した原告らは、判決に怒りをあらわにした。

 元生徒の男性(21)は「日本で朝鮮人として堂々と生きる権利、これから朝鮮人として育つ子どもたちの笑顔、未来を奪う判決だ。憤りを隠せない」と批判。元生徒の女性(22)は「同じ学校に通う後輩たちがつらい思いをすると思うと胸が張り裂けそうだ」と悔しさを押し殺しながら語った。

 朝鮮学校の生徒の多くは、日本で生まれ育った在日三世、四世。日本の文化に慣れ親しみ、将来も日本で生活していく。

 無償化の対象から除外した国の動きに合わせるかのように、各地の自治体で補助金交付を止める動きが広がりつつある。

 原告側の李春熙(リチュニ)弁護士は「国が拉致問題を理由に、朝鮮学校を対象外としたことは誰が見ても一目瞭然。国の主張だけをうのみにした極めて不当な判決だ」と述べた。 (岡本太)

◆判断の根拠薄弱

<名古屋大の石井拓児准教授(教育行政学)の話> 朝鮮学校の運営実態や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係に関する判断の根拠が薄弱だ。臆測に基づいている可能性があり、問題だ。また、無償化の適用を義務付けた大阪地裁判決では触れられていた教育機会の均等や民族教育の重要性への言及が見られず、十分な検討がなされたのか大いに疑問だ。大阪地裁と正反対の判決が示され、今後の同種訴訟への影響は見通せない。

 

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