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【社会】

電通、徹底改革を 違法残業防止へ元社員が訴え

古巣の電通に対し、徹底的な働き方改革を求める前田将多さん=大阪市中央区で

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 新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の自殺に端を発した電通の違法残業事件。二十二日の初公判で、遺族が見守る中、電通の社長は「心からおわびする」と謝罪を口にし、再発防止を誓った。元電通社員は徹底した改革を進め、社会から違法残業をなくすきっかけにすべきだと語る。 (岡本太、山田祐一郎、蜘手美鶴)

◆「社員守るため仕事断る必要も」

 「社員の命を守れず、とうとう裁判に…。ここまで変われなかった電通の責任は大きい」。電通の元社員前田将多さん(41)=奈良市=は初公判を前に、古巣への思いを語った。

 前田さんは二〇〇一年入社。関西支社でコピーライターとして働き、一五年六月に退職した。現在はコラムニストとして活躍。著書「広告業界という無法地帯へ」で、電通の仕事の実態を描いた。

 電通時代、業務量は膨大で、毎日深夜まで働くことが当たり前だった。「私生活と仕事の区別は曖昧で、人生全てを懸けないとできない仕事と感じていた」

 「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並ぶ「鬼十則」の精神こそが、電通の社風だった。「そこに誇りを持ってやっていた。良くも悪くもそういう社風だった」

 一方、その社風が高橋さんを自殺に追い込む一因になった。「新入社員をそこまで追い詰めなければならなかったのか。周りは異変に気付けなかったのか」と表情を曇らせた。

 「上層部の責任は大きい」と言い切る。広告業界では広告主の発言権が強く、無理な依頼も断れない。さらにインターネット広告の普及で社員の業務量が増え、求められるスピードが上がり、長時間労働を助長したと振り返る。

 高橋さんもネット広告を担当する部署に配属されていた。前田さんは「ネット広告は永遠に修正可能。終わりがない。電通はどんな仕事でも受けてきたが、社員を守るために、時にはトップ判断で仕事を断ることも必要だ」と語る。

 「電通は落ちるところまで落ちた。残された選択肢は徹底的な改革のみだ」と前田さん。その上で「電通を悪者にしただけでは、世の中は何も変わらない。電通には『ここまでやったか』と言われるほどの働き方のイノベーション(技術革新)を実現し、改革のモデルケースとなってほしい」と言葉を送った。

 

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