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【社会】

柏崎刈羽 事実上の適合 東電「福島」と同じ沸騰水型

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 原子力規制委員会は二十七日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、原発の新規制基準に「適合」するとの審査書案を定例会合に示した。東電は福島第一原発事故の当事者で、事故収束も被害者への賠償も終わっていないが、「原発を運転する資格がある」と認定。事実上の適合判断となるが、了承は次回十月四日以降に持ち越した。 (小川慎一)

 柏崎刈羽6、7号機は、福島第一と同じ沸騰水型。この型では初の適合となり、東電の原発としての適合も初めて。

 東電は、二〇一三年九月に審査を申請。想定する津波の高さを約三メートルから約七メートルに引き上げ、海抜十五メートルの高さの防潮堤(長さ約二・五キロ)を整備した。重大事故時に原子炉格納容器が破裂するのを防ぐため、内部の蒸気を抜くフィルター付きベント(排気)設備も設置。新たな非常用冷却装置も導入する。

 審査の過程では、防潮堤の地盤が液状化する恐れや、事故時に対策拠点となる免震重要棟の耐震性不足について、東電は把握しながら規制委に事実と異なる説明をしていたことが発覚。規制委は、東電に申請書を総点検させ、六月に再提出させた。

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 規制委は当初、東電に原発の運転資格があるかについて疑問視していた。東電側が、文書や口頭で福島事故を収束させ、柏崎刈羽を安全第一に運営する決意を表明したことで、一転して態度を軟化。田中俊一前委員長の任期(十八日まで)中に、適合にめどをつけようと急いだ。

 審査書案が了承されれば、国民から意見募集(パブリックコメント)を一カ月間実施し、年内には審査書を正式決定する見通し。

 東電は柏崎刈羽を再稼働させ、福島事故の処理費用や、住民への損害賠償の費用を工面する方針。

 しかし、立地する新潟県の米山隆一知事は「福島事故の検証には三、四年かかる」と明言している。東電は当面、地元同意を得られず、再稼働できる状況にない。

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◆規制委審査 甘い仮定

 福島の原発事故の収束は緒に就いたばかりで、被害住民への損害賠償も終わっていない。そんな状況を百も承知の原子力規制委員会が、東京電力に再び原発を動かすことを許そうとしている。何をそんなに急ぐのか。規制委の対応は奇異と言うほかない。

 「現時点での安全性がどれくらいかを確かめてもらうのが、今回の審査申請」

 四年前、新基準による柏崎刈羽原発の審査を申請する前、東電の広瀬直己社長(当時)は、新潟県の泉田裕彦知事(同)にこう強調した。原発再稼働による金もうけのためだ、と指摘した泉田氏への反論だった。

 だとすれば、規制委が今やることは、新たな対策で柏崎刈羽の安全性はどうかを審査することだけだ。

 にもかかわらず、規制委は、東電経営陣から福島の事故収束や賠償と、柏崎刈羽の安全性を両立する旨の決意を聞いただけで、「東電に運転資格あり」とまで踏み込んだ。もし柏崎刈羽でも事故を抱えることになったら対処できるのか。この重要な点を、審査しようともしなかった。

 新基準を満たした原発では、事故は一定程度で収束する−。規制委の審査は、甘い仮定を置いている。だから、国民負担がなければ破綻している東電であっても、運転資格ありとなってしまう。そんな姿勢では、審査への信頼は到底得られない。 (山川剛史) 

 

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