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【社会】

訪問看護トラブル調査へ 利用者から暴力・セクハラ

 在宅での医療や看護を担う訪問看護師が、利用者らから暴力や暴言、セクハラ被害に遭うトラブルが起きていることを受け、全国の訪問看護事業者の団体「全国訪問看護事業協会」(東京)は、実態を把握するための初の全国調査を本年度中に実施することを決めた。

 訪問看護師が受ける暴言や暴力の実態を調べた例は少なく、事業者によって対応もまちまちで、看護師が報告できずに抱え込むことも多い。

 調査結果は、新たに作る被害への対応手引書に反映する。海外事例などの文献も分析し、ガイドラインもまとめる。協会の上野桂子副会長は「看護スタッフや施設の管理者が安心、安全に仕事ができる環境をつくりたい」としている。

 協会の会員の約五千五百事業所にアンケートをし、回答を事業所の管理者や研究者、弁護士を交えた委員会で分析する。手引書やガイドラインは、協会のウェブサイトに掲載したり、研修会で配布したりする予定。

 訪問看護を巡るトラブルについては、神戸市看護大のグループが二〇一五〜一六年、兵庫県内で調査した結果、回答した三百五十八人のうち約半数が暴力を受けた「経験がある」との結果を公表している。全国各地で同様のトラブルが起きている可能性が高いという。

 ◇ 

 「つえでたたかれた」「はさみで刺してやると言われた」「利用者がアダルトビデオをずっと見ていた」。女性が多い訪問看護師が巻き込まれるトラブルは深刻だ。関係者は「自分の対応に問題があったのかもしれない」と考え、我慢することも多いと指摘する。

 神戸市看護大のグループが二〇一五〜一六年に行った兵庫県内の訪問看護師へのアンケートで、百八十人が「暴力を受けた経験がある」と答えた。

 暴力の主な中身は「威圧的な態度」「言葉での侮辱」「身体的暴力」。「『ばか女死ね』と言われた」「生傷が絶えない」「抱きつかれた」との回答もあった。

 これに対し「(暴力や暴言を)やめるよう伝えた」という看護師がいる一方で、相手の言い分を聞き続けたり、諦めたりする看護師も多い。

 神戸の調査メンバーで、訪問看護ステーションで所長を務める藤田愛さん(51)は「対策を進める根拠のデータが集まる」と全国訪問看護事業協会による全国調査に期待を寄せる。

 

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