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【社会】

横田騒音 国に賠償命令6億円 飛行停止は認めず 東京地裁支部

 米軍横田基地(東京都福生市など)の周辺住民約千人が夜間、早朝の米軍機などの飛行差し止めと騒音被害に対する損害賠償を求めた「第二次新横田基地公害訴訟」の判決で、東京地裁立川支部(瀬戸口壮夫(たけお)裁判長)は十一日、国に総額約六億一千万円の支払いを命じた。飛行差し止めは退けた。 

 航空機騒音の大きさ、頻度、継続時間などを加味して計算する「うるささ指数(W値)」が七五以上の地域の住民について、瀬戸口裁判長は「受忍限度を超える違法な権利侵害を受けている」と指摘。賠償額はW値七五で月四千円、八〇で同八千円、八五で同一万二千円。「第一次新横田基地公害訴訟」から千〜三千円上がり、昨年判決が確定した厚木基地(神奈川県)訴訟と同程度となった。

 一方で、夜間や早朝の騒音がなくなるまでの「将来分」の賠償請求は退けた。

 全国の基地訴訟では、W値七五以上の地域の「過去分」に限り、賠償を認める司法判断が定着している。

 今回の訴訟ではW値七五を下回る地域の住民も原告団に加わり、W値にかかわらず一人当たり月二万二千円を請求したが、救済範囲が広がることはなかった。

 飛行差し止めの請求も、これまでの基地訴訟で「国に権限がない」などとして退ける判決が最高裁で確定。国側の「支配の及ばない第三者(米軍機)の行為の差し止めを求めるもので、主張自体が失当」との主張が今回も認められた。

◆最高裁判断踏襲 根本救済程遠く

 横田基地の騒音被害解消を求める訴訟は一九七六年以来、繰り返し起こされてきた。将来分の賠償が認められず、住民は救済を求めるたびに訴訟を選ぶほかなかったのが一つの理由だ。

 最高裁は昨年十二月、厚木基地(神奈川県)騒音訴訟の判決で(1)米軍機の飛行差し止めは国内で審理できない(2)将来生じる騒音被害に対する賠償は、被害が明確に認定できず請求できない−などと判断。今回の判決も、国側が進める防音工事などを「限定的および間接的な効果しかない」などと批判はするものの、最高裁の判断基準を踏襲し、被害者の根本救済には程遠い内容だ。

 基地周辺住民らが最初に提訴してから四十年余りがたち、原告の高齢化は進む。二〇〇五年の「第一次新横田基地公害訴訟」の控訴審判決で東京高裁が「国による適切な措置が講じられるべき時期を迎えている」と促してから十年以上がたつ。

 今回の訴訟では一三年の提訴以降、原告二十七人が亡くなった。大野芳一原告団長は判決後、「裁判に一生を費やさなければならないのか」と述べた。「国による適切な措置」が求められている。 (林朋実)

<米軍横田基地> 東京都心から約40キロ西にあり、福生市など5市1町にまたがる。面積は約714万平方メートルで、3000メートル級の滑走路を備える。1940年に旧日本陸軍の飛行場として開設。戦後米軍が接収し、在日米軍司令部が置かれている。2012年に航空自衛隊の航空総隊司令部が移転し、ミサイル防衛(MD)の拠点となる「日米共同統合運用調整所」が設置された。

 

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