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【社会】

「公務員の忖度を防ぐ基準を」 9条俳句訴訟 さいたま地裁あす判決

 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ俳句を、さいたま市の公民館が月報への掲載を拒否したのは表現の自由の侵害だとして、作者の女性(77)が市に掲載などを求めた訴訟の判決が十三日、さいたま地裁で言い渡される。女性は「公務員が政治や社会の状況を忖度(そんたく)せず、正しい判断ができるような基準を示してほしい」と願う。 (西川正志)

 集団的自衛権の行使容認が議論されていた二〇一四年六月上旬、女性は土砂降りの東京・銀座で偶然、子連れの母親や同年代の女性が「九条守れ」とデモ行進する姿を見た。

 「戦争ができる国になるんじゃないか」。議論を巡る連日の報道に漠然とした不安を抱きながらも、具体的な行動をしていなかった女性は「雨の中、その姿に感動した」。思いを趣味の俳句に残そうと「梅雨空に〜」が生まれた。

 参加する俳句会は、地元の三橋公民館(同市大宮区)の月報に掲載する句として「梅雨空に〜」を選んだ。しかし公民館は「世論を二分するテーマの句は掲載できない」と内容を問題視して拒否。一〇年十一月から始まった句の掲載が拒否されたのは初めてだった。

 裁判では不掲載の正当性や、表現の自由の侵害に当たるかなどが争われた。市側は俳句がデモの描写でなく「(女性は)集団的自衛権の行使は許されず、九条を守るべきことを俳句に託した。意図を持って作成された俳句を掲載することは中立性、公平性に反する」と主張した。

 女性は「政治的なメッセージを込めた俳句ではない」と反論。公民館からは制作意図などの聞き取りは一切なかったという。「『誰かから何か言われたら困る』という発想で俳句がないがしろにされた」と、表現の自由の侵害を訴えた。

 掲載拒否から三年余り。この間にも全国各地で、行政が中立性を理由に市民活動を制約する事例が続いた。女性は「市民に寄り添ってくれるはずの公務員が、権力を向いて仕事をしているんだと感じる。こんな問題が繰り返されないような判決を出してほしい」と話している。

 

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